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はてさて。タイムトラベルの不可能性と可能世界の内在論理についての話を前回したのだけど(←ん?)、ややこしくクドい話になっちゃって、困った。んで、何とかそこから映画『ドニー・ダーコ』の話をわかりやすくしてみたい、と思いつつ、うっかりしてたらエラく間があいてしまった。え、半年!? あれれ? しまったなぁ(笑←笑い事ではない←すいません)。この半年の間にも『CQ』『ストーリーテリング』、『マイノリティー・リポート』や『グレースと公爵』や『ボウリング・フォー・コロンバイン』などなど、語り甲斐のあるような作品もいろいろあったんだけど、その一部は各レヴューや特集コラムの方で長々とやっちゃっうことにしてたので、こっちはお休み状態になってしまった。去年のベスト(→特集参照)についても、もっと長々と書きたい欲望にかられるんだけど、とにかく『ドニー・ダーコ』論をさっさと終わらせてしまうことにしよう。そんでなんとか隔週連載に復活せねば…‥。
『ドニー・ダーコ』
監督:リチャード・ケリー/製作総指揮・出演:ドリュー・バリモア/出演:ジェイク・ギレンホール、ジェナ・マローン、メアリ・マクドネル、パトリック・スウェイジ、ノア・ワイリー、キャサリン・ロス他

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『ドニダコ』についての小ネタはいろいろあるんだけど、みんな古い話になってしまった。例えば…‥

・『ドニー・ダーコ』には『ザ・リング』のサマラが出ている。んで『リロ・アンド・スティッチ』『千と千尋の神隠し/USA版』(祝!米アカデミー長編アニメーション賞受賞!!)の声優もやってる。あ、ちなみにその小さな女優の名は(もうバレてもいいと思うので)デイヴィ・チェイスちゃんである。
とか、

・物語の舞台となった「ミドルセックス」という郊外の町は、マサチューセッツ州に実在する。あら、ニュージャージー州にもある。とか、同じ「哀しいサバービア青春もの」である『ヴァージン・スーサイズ』の原作者ジェフリー・ユージェニデスの、今年もとい去年(2002年)9月発表の長篇第二作が『ミドルセックス(Middlesex:A Novel)』ってタイトルらしい(あ、『ヴァージン・スーサイズ』の舞台はミシガン州デトロイト郊外のグロスポイント)。とか、実は同じ地名がカナダのオンタリオ州やイギリスのロンドンにもあるらしいんだけど、どちらも「sex」という単語が入っているので、お上品な検索ソフトにはひっかからないってネット上での問題が起きたりしているらしい。
とか、

・劇中で登場したのと同じ『タイムトラベルの哲学』という題名の本が、日本公開年と同じ2002年1月に出版されていた! なんてシンクロニシティだ? こっちの著者は青山拓央という75年生まれの時間論哲学者で、独我論系哲学者である永井均の弟子筋らしい。中身はちょっと疑問も湧く哲学的時間論、なんだけどさ…‥時間SFをバカにしてる口ぶりに軽い怒りもあったりするが、なるべく平易にヒトの「時間」観について考えようとする志は、好ましいとは言える。あら、映画『タイムマシン』のプログラムにも書いてたりする! (詳しくは青山拓央のサイトを参照のこと)
とか、

・そういや日経サイエンス02年12月号が「時間とは何か」という特集を組んでいて、タイムトラベルの理論的な方法論なんかも紹介されている。某シネマカフェの連載「5分でわかる『タイム・マシン』」に書いてあった理屈よりは厳密、というか『ドニダコ』劇中での「理論」=「金属製の乗り物と入り口があればタイム・トラベルは可能」なんてのは、科学的な厳密さは一切ないヨタ話なので、あくまで映画内の虚構バランス上の仮の喩え話(本当は別の理屈があるけど神ならぬ身でも理解可能なように用意された道具立て)くらいに把握すべき
なんだけど…‥。
とか、

『ハリー・ポッターと秘密の部屋』のダニエル・ラドクリフ君が、来日時のTV「ぶらんち」インタヴューで、フェイヴァリット映画ベスト3に『ドニー・ダーコ』を挙げていた(後の2本は『ギルバート・グレイプ』と『12人の怒れる男』。あ、雑誌スターログの取材では『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』と『12人の怒れる男』を挙げてる)。
とか、

・ああ、あとレヴューで敵視しちゃったスタジオ・ボイスでの長谷川町蔵先生の『ドニダコ』評についてだけど、ちょっと撤回。長谷川町蔵先生はココではベタホメしてるのを発見したのだ。あれは『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』を持ち上げるための「為にする」貶しだったのね、って感じ。ん、でも言ってることが違うってことで、撤回する必要はないのかも? 一緒に喋ってるTaffyの手柄なのかもなぁ。うーん…‥。
とかとか、

そういう小ネタをちょろちょろ集めてたんだけど、あっという間に話題が古くなっちゃった。うう。気を取り直して、古くなりついでで(笑)個人的思い入れ全開の私的『ドニー・ダーコ』論に、ちょっと明後日の方向から突入する。


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