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舞台はロスの街。深夜、自慢の愛車を操りストリート・レースを繰り返す若者たちがいた。彼らの愛車はただの車ではない。NOS(コンピューター制御による燃料噴射)を搭載した高性能マシンなのだ。限界までチューンアップされたマシンは時速270kmで爆走、一晩で1万ドルもの大金を稼ぎだす。
ドミニク(ヴィン・ディーゼル)は、ストリート・レースで最速最強の男。恋人のレッティ(ミシェル・ロドリゲス)やエンジニアのジェシー(チャド・リンドバーグ)といった仲間たちに崇拝されていた。ある晩、一人の男がドミニクの前に現れた。彼の名はブライアン(ポール・ウォーカー)。ストリート・レース界で無名のブライアンは、自分のマシンを賭ける条件でドミニクに勝負を申込み、ドミニクはこれを了承する。ドミニクの妹ミア(ジョーダナ・ブリュースター)は、この謎めいた男ブライアンを一目で気に入る。しかし、彼が警官だということは、この時点で知る由もなかった。 ブライアンは、ハイスピードのままトラックをジャックするいう連続事件の極秘操作に関わっていた。容疑者は間違いなくストリート・レーサー。ブライアンは真犯人を見つけるべく、おとり捜査官としてストリート・レーサーたちに近づいていたのだ。 ストリート・レースは現金が自由に飛び交い、警察もそれらが決してきれいなお金でないことを知っている。ブライアンが近づいたドミニクも、彼と対立関係にあるチャイニーズ系の無情なジョニー・トラン(リック・ユーン)も、共に容疑者以外の何者でもないのだ。 二大組織間の緊張のレベルはピークに達していたが、ブライアンはいつからか、ドミニクには兄のような親しみを、ミアには否定できない愛を感じていた。しかし、ブライアンの身分は警官であり、ハイジャック事件の真犯人の追求こそが、自分自身の限界に挑むことだとく気付くのだった・・・。 ストリート・レースという題材を軸に、若者の友情や恋愛やら刑事ドラマやらイロイロな要素が混じっている映画。ちょっと散漫な気もするけど、理屈なしに楽しめます。タイトル“ワイルドスピード”どおり、チューンアップされたマシンの疾走感や、CGを駆使したエンジンの躍動感など、斬新な映像は見る価値十分。実際ロスでは、刺激的な映像と反社会的な若者の描写のため、劇場前にパトカーが出動する騒ぎがあったとか。今アメリカでは、日本のスポーツ・カーが“ライス・ロケット”と呼ばれ大人気。そういう背景があって、映画の中に出てくるマシンは日本車ばかり。どれもエアロパーツで武装していて、おまけにハデハデなペイント(ペイントのセンスは完全にアメリカンだけど)が施されているので、それを見るのも面白いところです。アメリカでは、興行収入が『A.I.』を上回る大ヒットとなった本作。『MAD MAX2』とか『TAXI』とか、どこかで見たようなシーンが多いのはご愛嬌だけど、クルマ好きな人は楽しめるでしょう。 Text : またひこ Copyright (c) 2001 UNZIP |