『シュレック』監督アンドリュー・アダムソン、製作ジェフリー・カッツェンバーグ来日記者会見レポート!

→ 「シュレック」レビュー
本年5月、全米に登場するや記録的大ヒットを達成。オープニング3日間の興行収入がアニメーション作品として歴代1位、ドリームワークス作品としても暦代1位に輝き最大ヒット作となった『シュレッック』。日本でもいよいよ12月15日(土)より日本劇場ほか全国東宝洋画系劇場にてロードショーです。

【Q:質問/A:アンドリュー・アダムソン/J:ジェフリー・カッツェンバーグ】

A:日本に来れて、とっても嬉しく思います。私は日本が初めてなので非常に光栄ですし『シュレック』という映画を持って来れたことが私の喜びです。この映画が皆さんに楽しんでもらえることを願っています。

J:私は日本に何度も来ていますが、いつも戻って来れた事を嬉しく思います。今回『シュレック』という映画が東京国際映画祭のオープニングに選ばれました。この国際映画祭は世界でも有名な映画祭だということを認識しています。ここでオープニングに選ばれたことを光栄に思います。

Q:全米でヒットしている要因と魅力は何だと思いますか?

A:私はヒットの要因も魅力も同じ答えです。まず非常に普遍性のある映画だということ。国、文化、年齢を問わず受ける要因を持っています。そして、自分自身を受け入れるというメッセージが描かれています。また、多くの人たちに受け入れられるユーモアが含まれているのです。ドンキーが壁にぶつかって転ぶという単純なものもあれば、ジンジャーブレッドマンが拷問されている場面はかなり複雑なユーモアが含まれています。そういった様々なユーモアが人々を楽しませて、観終わった後に良い気分になれる作品となっています。

Q:日本で宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』がヒットしていますが、すでに200万ドルの興行成績を越えました。ジェフリー・カッツェンバーグさんにお聞きしますが、ドリームワークスがこの映画の北アメリカでの配給に興味を示しているというお話を聞いたのですがその辺の所を教えてください。

J:『千と千尋の神隠し』は観ました。本当に素晴らしい映画だと思います。日本でこれだけヒットしているのも頷けます。そしてドリームワークスは北アメリカで配給をするという可能性について話し合いを持っているところです。本当にこの映画は第一級の形で世界中に紹介すべき作品だと思います。

Q:カッツェンバーグさんに質問ですが、ディズニーからドリームワークスへ移られた時に具体的にどんなアニメを作りたいという信念がありましたか。

J:ディズニーにいた頃、ウォルト・ディズニーが常々「映画を作るのは子供の為だ。そして大人の中にある子供の部分に対しても作るんだ」ということを言っていました。我々ドリームワークスでは自分のものを作りたい、非常にオリジナリティーがある独創的なものを作りたい。つまり、映画を私たちのために作ること。大人の為に作り、子供の中にある大人の部分に向けて作っているのです。今までドリームワークスで作ったアニメをご覧になると、とても洗練されたもの、そしてテーマ性もアイディアも複雑なものが多い。これは大人のために作られているからであって、それと同時に子供たちも楽しめる映画となっています。ですから『シュレック』は大人の為に作っていますが、充分子供たちも自分のために作られていると感じるのです。

Q:20世紀に私たちを楽しませてくれたおとぎ話のキャラクターが勢揃いしました。とても作られた方の愛情を感じましたが、そのキャラクターをすべて勢揃いさせた理由、思い入れがあれば教えて下さい。

A: 本当に私たちが大好きだったキャラクターを使って作りました。それを時には遊び心で捻ってみて、大いに笑うというのも大事だと思いました。おとぎ話というのは、私たちの育つ中で色々なことを教えてくれる。その教えてくれたことが必ずしも社会では通用しないということを伝えたかったというのもあります。

Q:原作の絵本を読みましたが、結末以外はかなり変わっていてそれでも原作のテイストはよく残っていたと思います。脚本化・映像化に関しての御苦労を教えてください。

A:原作がとても短いものなので、長編映画にする苦労がありました。我々の主人公は、臭いし、汚いし、緑色の怪物だということで、見た目にはヒーローには見えないアンチ・ヒーローです。普通ならこういう怪物は悪役になるところを、彼が魅力がないところから、だんだんと惹きこまれていって好きにならないといけないのです。そこが一番困難なことでした。ただし、4年間色々なものを作っていく中でそのプロセスをかなり楽しみました。カッツエンバーグ氏は「4年間笑ってただけだよ」と言っていますが、カッツェンバーグ氏を笑わせるのが一番大変でしたよ。それが苦労かな。

Q:新設されるアカデミー賞アニメ部門の最有力候補と注目されていますが、ディズニーなどに対してライバル意識などありますか?

J:ここ1年、世界中でアニメーションにおいて革新的なことが起こっていると思います。この作品『シュレック』がカンヌ映画祭50年の歴史で初めてコンペティションの参加作品に選ばれたこと、今回の東京国際映画祭でアニメーションで初めてオープニング作品に選ばれたこと、アカデミー賞にアニメが追加されたことなどです。芸術形態としてのアニメーションが認められ主流になってきているということの現れだと思います。これは私たちにとっても、大変喜ばしいことです。私は30年間映画業界に身をおいており、その間、アカデミー賞にノミネートされたこともあります。ノミネートされた時点で、それはもう名誉なことだと思いますし、受賞できるかどうかは予想できません。今回の『シュレック』がアカデミー賞にノミネートされたことに達成感を感じます。もし受賞することがあればそれは奇跡だと思います。

Q:テロ事件の影響でハリウッドでも映画の題材やテーマ性が見直されている時代ですが、もしかしたら『シュレック』のような映画が、答えなのではないでしょうか。


J:映画というのはすごい力を持っているものなのです。私は映画つくりを愛していて、アニメーションを作ることを愛しているのは、それが成功したときに、人々の生活に歓びと楽しさをもたらすことができるからです。今、世界状況の中で本当にいやなことが沢山ありますが、映画館に入ると一時でも物語に没頭して、人々を笑わすことができるということは素晴らしいことだと思います。また映画を通して人々を楽しませることも大事ですが、啓蒙することも出来るのです。この『シュレック』という作品は、かなりおふざけがあったりしますが、そのユーモアの底には力強いメッセージがあると思うのです。私は、フィルムメイカーとして、そのような歓びや笑いをもたらすことができることに幸せを感じます。9月11日のテロ事件の直後にテレソンを放送し、その冒頭でトム・ハンクスがいった言葉なのですが、私たちエンターテイナーとしてできることは、人々の気持ちを少しでも明るくすること、啓蒙すること、そしてお金を集めることだと。それが出来たということに、私は喜びと誇りを感じています。

2001年10月26日(金)都内ホテルにて
TEXT:imafuku [UNZIP]



Copyright (c) 2001 UNZIP