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火星を舞台に繰り広げれる、前人未到のハードコア・バトルムービー!! 西暦2176年、入植の為火星にやってきた人間達は、謎の古代遺跡を発見し、禁断の封印を解いてしまう。それは火星の先住民族の亡霊を封じ込めていたパンドラボックスだった…。恐るべき亡霊たちは人間に憑依し、人間たちを狩りまくる! 火星警察MPFと犯罪者とが協力し、ゴーストに支配された火星を舞台に生き残りを賭けた死闘が繰り広げられる。血しぶきが飛ぶ!首が飛ぶ!肉体が四散する!『ゴーストオブマーズ』はぬるま湯につかったハリウッド・メジャーに対して思いきり中指を立てて、“NO!”を突きつけた、アナーキーにして異色のハードゴア・バトルムービーなのだ!!
一部でマニアックな人気も有るジョン・カーペンター監督の今世紀最初の劇場公開作品と言う事で期待していたのだが…ジョンと言えば、ジョン・ランディス監督(『狼男アメリカン』(81))と並んでカルト界のW・ジョンと言われているが、彼の名前を一躍有名にしたのは『遊星からの物体X』(82)だったろうか。『ニューヨーク1997』(81)、『ゼイリブ』(88)、『マウス・オブ・マッドネス』(94)、『エスケープフロムLA』(96)、そして、20世紀最後の作品となった『ヴァンパイア/最後の聖戦』(97)等が日本でも人気の作品と言えよう。 ジョン・カーペンター作品は、クールな主人公が何だかわからない敵に果敢に挑んでいくと言うヒーロー像に特徴がある。特に前作、『ヴァンパイア/最後の聖戦』はヴァンパイアに独自の解釈を加えて、科学兵器で武装したヴァンパイア・ハンターの戦いがクールに描かれた名作だった為、今作も、舞台は火星に移しつつも、クールな戦いが繰り広げられるのであろう! と知らず知らずのうちに期待も高まっていた。しかし、はっきり言うと、従来のジョン・カーペンターワールドが展開されつつも何か釈然としないまま話が進んでいくのである。 どうも、今回は役者がいまいちだったのかな…。謎のゴースト集団と遭遇して果敢に生き残りを賭けた戦いを挑む火星警察のメラニー・バラード警部補に『スピーシーズ・種の起源』(95)で美しい姿をスクリーン・デビューさせたナターシャ・ヘンストリッジ。本来は、コートニー・ラブがやるはずの役だったところを、悲運の怪我による降番により撮影開始2週間前にナターシャに役が転がり込んだのだ。成り行きで一緒に戦う事になった殺人容疑の囚人、ジェームス“デゾレーション”ウィリアムズにラッパーとして活躍し、その後俳優業にも進出した、アイス・キューブ。アイス・キューブは『アナコンダ』(97)、『スリーキングス』(99)等の作品で渋い演技のバイプレーヤーを演じている。…しかし、二人ともおとなし過ぎ!本来ガバーッと盛り上がるべき作品なのが寡黙な二人の主演によりなんともおとなしいアクション作品に仕上ってしまったようだ。共演者もなかなか個性の有る役なのだが、いかんせんキャラクターが生かされてなく、中途半端な印象が拭えない。このシーンはお笑いなのか? と考えてしまうシーンとかもあり、ちょっと入り込めなかったなぁ…。 着想も悪くは無いのだが、戦う相手も謎の先住民の亡霊なのでどうやって退治するのか! と思っている間に、肝心の科学者ウィットロック教授(『ブレードランナー』のジョアンナ・キャシディー)も途中であっけ無い最後を遂げて謎の究明どころか、肝心の所は何も解決されないまま死んでしまうのだった。どうする、このままで!と言いながらも話はどんどん進んでしまうので、この結末は…ネタばれになるので興味が有れば、劇場でチェックしてみて下さい。最後にニヤッと笑えるシーンが有るが、それじゃあゴーストに対して何にも解決になってないだろう…と言うある種悲劇的な結末である。でもまあ、この何とも間の悪い感じがB級ムービーの勇、ジョン・カーペンターらしいと言えばらしいのかもしれませんな〜。 注目すべきは、ゴーストのメーキャップと音楽をサポートしたメタルバンド、アンスラックスとのコラボレーションだろうか?! おどろおどろしいゴーストのメーキャップは心臓の弱い人には要注意かもしれない。顔面や体中に刺し込まれる針金ピアスの数々は見ていても痛々しいですわ…。激しい銃撃戦のバックに流れるメタルサウンドも畳み掛けるようなバスドラの繰り返しによるテクノっぽいミクスチャーサウンドが…と言いたいところが、画面から漂うおとなしい雰囲気を盛り上げるまでにはなっていない。BGMの域を出ていないんですな、惜しい! Text:harry Copyright (c) 2002 UNZIP |