[エブリバディ・フェイマス!] Iedreen Beroemd!
2002年8月17日より日比谷シャンテシネにて公開

監督・脚本:ドミニク・デリュデレ/出演:ヨセ・デパウ、エヴァ・ヴァンデルフフト、ウェルナー・デスメット、ヴィクトル・レーヴ、テクラ・リューテン、ほか
(2000年/ベルギー・フランス・オランダ合作/95分/配給:アルシネテラン)

ビンの製造工場で働くジャン(ヨセ・デパウ)は妻のシャンタル(ヘルト・ポルタール)と17歳の娘のマルヴァ(エヴァ・ヴァンデルフフト)と暮らす平凡な中年男。娘のマルヴァは歌が大好きな歌手志望。娘を手放しで応援するジャンだが、マルヴァはそんな父親がうっとうしくて仕方がない。そんななか、ジャンの働くビン工場が倒産してしまう。家族にも言えず途方に暮れる彼はひょんな事で出会った人気歌手のデビー(テクラ・リューテン)を出来心で誘拐してしまう。そしてプロデューサーにデビーを返す条件として自作の曲「ラッキー・マヌエロ」でマルヴァをデビューさせる事を要求するのだが…。果たして前代未聞のデビュー大作戦は成功するのか!?

2001年のアカデミー賞外国語映画賞ノミネート作品。監督やキャストの知名度も高くなく、有名な原作があるわけでもないが、2000年本国ベルギーで封切られたのを皮切りに世界各国を渡り歩き好評を得たハートウォーミング・コメディ『エブリバディ・フェイマス!』がとうとう日本上陸。この映画のテーマである「娘を思うオヤジの愛」は万国共通なのですな〜。そして時に父親の愛情表現というモノは的外れだったりするところも…(苦笑) 娘に毛嫌いされたり、失業しても仕事に行くフリをしたりするのも日本のオヤジ殿とよく似ていて、嗚呼、親父ブルース!って感じなのです。

おデブちゃんで器量もイマイチだし、歌の才能も微妙なカンジのマルヴァは毎週のど自慢に出場するのだが、うまくいかずクサっている。(なかなかキュートな歌声なんですけどね) 娘の才能を信じ、励まし続けるジャンとは対照的なのが母親のシャンタル。才能がないのならスターを目指すより平凡な幸せをつかんでほしいと願っています。そんなシャンタルがマルヴァに「オペラとか、ゴスペルに転向してみるとか…」などと助言するシーンがあるのだが、「それ、体型の事言ってんのか!」とついツッコミを入れてしまったワタシなのでした。それにしてもマルヴァが参加するのど自慢大会は、なんていうかヘンなものまねパブにきちゃったみたいなカンジで実におかしい。やはりマイケルジャクソンやクイーンっていうのはものまね界のお約束なのでしょうか(笑)

ちょっと残念だったのは、ベルギーの音楽事情がわからないので、どこまでがネタなのかわからない事だった。セクシー人気歌手デビーの歌はベルギー的には本当にイケてるのだろうか?ワタシは知りたい。それはさておき「ラッキー・マヌエロ」だが、とにかくアレンジがスゴかった。トランペットとガットギターまではまだいい。(タンゴっぽいというか、フラメンコっぽいというかそんな感じ。)そこになぜかディストーションギンギンのエレキギターが入ってきてそれはもうとんでもない事になるのだ! 「一度聞いたら忘れられない」とは聞いていたが…。そういうコトだったとは。サントラも出るらしいのだが、これは是非劇場で聞いて頂きたい。ワタシは帰り道危なく口ずさみそうになった。
「ンラッキ〜マヌエェエェロォ〜〜♪」 イカン。ハマったな…。

Text:でこ助

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