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【STORY】
あの『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』から8年、美しきヴァンパイア達が繰り広げる壮大なストーリーの第二章が、今、幕を開ける。 ニューオリンズの地下墓地、自ら石の棺の中で長き眠りについたヴァンパイア・レスタト(スチュワート・タウンゼント)を100年の眠りから目覚めさせたのは現代の夜を引き裂くへヴィーロック!だった。墓場でリハーサルをしていたバンドメンバーに自分はヴァンパイア・レスタトだと名乗り、その美声によりメンバーを虜にしてしまう。レスタトをヴォーカルに迎えたバンドは一躍スターダムにのし上がり、世界中にレスタトのメッセージをへヴィーロックに乗せて奏でる。しかし、ヴァンパイアは自らの正体を明かしてはならないという掟がある。自らヴァンパイアだと名乗り、ヴァンパイアの秘密を歌詞に乗せて世界を挑発するレスタトに怒り心頭のヴァンパイア達は真夜中の野外コンサートで姿を見せるレスタトの命を虎視眈々と狙うのであった。世界中に鳴り響くレスタトの歌は同時に数千年の眠りにつくヴァンパイアの女王アカ-シャ(アリーヤ)を目覚めさせた…全てのヴァンパイアの祖にして生みの母である美しくも邪悪な女王もまた、世界を破滅へと導く為にレスタトのコンサート会場を目指していた。アカ-シャの暴挙を阻止すべく立ちはだかる善なる魔女マハレット(レナ・オリン)を筆頭としたヴァンパイア同士の壮絶な死闘と、偉大なる一族の末裔の人間ジェシー(マーガリート・モロー)を巻き込んだ壮大なる物語が始まる…! 【REVIEW】 前作ではトム・クルーズが演じたレスタトを原作者アン・ライスのたっての希望で英国人俳優のスチュワート・タウンゼントが演じている。スタッフ達をして「彼こそレスタトだ!」と言わしめた妖艶な立ち振る舞いはこの作品に独特の気品をかもし出している。ヴァンパイアは美しくあらねばならない、孤独であらねばならない、等の条件を見事に克服しており、劇中でロックスターを演じるタウンゼントはまさに現代のカリスマの迫力十分である。 全ての始まりである女王アカ-シャはなんとエジプト王朝紀元前40世紀から生き続けていると言うのであるから驚きだ。しかし、何故に目覚めた女王が世界を破滅に導くのか? その辺がイマイチ良く分からなかった。原作は5部作にも及ぶ年代記を様相する長編であり、本作は2部と3部を映画化したそうである。番外編のストーリーもあるらしく、細かいところは原作を読まないと辛そうだ。前半ではいかにしてレスタトがヴァンパイアになったのか、彼をヴァンパイアにしたマリウス(ヴァンサン・ペレ-ズ)との確執が描かれている。マリウスを始め、マハレット、前作ではアントニオ・バンデラスが演じたアーマンド(マシュー・ニュートン)等レスタト以前のヴァンパイア達の関係が詳しく描かれていないのは不満の残るところである。それ故に後半の対決シーンが何だか興をそぐと言うか取って付けた様に見えてしまうのだ。これはやはり続編を作ってもらい一大叙事詩路線を狙って引っ張ってもらいたいなぁ…続編を見る度にがっかりしながらまた次も見てしまうと言うような…(笑) ちなみに本作では前作に出てきた、ルイ(ブラッド・ピット)とインタビューアー(クリスチャン・スレーター)は出てきません。レスタトがヴァンパイアにした少女クローディアを今をときめくキルスティン・ダンストが演じていたとのは新鮮な発見であったなぁ。 レスタトのバンドの演奏を実演で支えているのがへヴィーロックバンド、コーンのジョナサン・デイビスと映画音楽のベテラン作曲家リチャード・ギプスのコンビである。ソングライターでありヴォーカリストでもあるジョナサンが劇中のレスタトの歌を歌っているのである。契約の問題がありサントラではジョナサンのヴォーカルは聞けないが、代わりにマリリン・マンソン、リンキンパークのチェスター・ベニントン等コーンに影響を受けた面々ががっちりサポートしているので、映画で楽しみサントラで2度楽しむのもいいだろう。カリフォルニア・デスバレーで繰り広げられるレスタトの野外コンサートの迫力はそのままCDデビューしてしまいそうな迫力がある。映画だけで終らせてしまうには惜しい気もするのだが、実際にはジョナサン・デイビスが歌っているので難しいだろうなぁ…。 女王アカーシャを演じているアリーヤはR&Bのシンガーで、若干22歳の若さであるが音楽界ではグラミー賞にもノミネートされた事もあるベテランである。映画界にも進出しこれからと言うところであったが、本作収録後にセスナ機による墜落事故で短い生涯を閉じた。『The Matrix:Reloaded』にも抜擢され今後が期待されていただけに早すぎる死は残念なところだ…。 Text:harry Copyright © 2002 UNZIP |