[ジョンQ -最後の決断-] John Q
11月 日劇1他全国東宝洋画系にてロードショー!

監督:ニック・カサヴェテス/脚本:ジェームズ・キアーンズ/製作:マーク・バーグ&オレン・コーレス/出演:デンゼル・ワシントン、ロバート・デュヴァル、ジェームズ・ウッズ、アン・ヘッシュ、キンバリー・エリス、レイ・リオッタほか
(2002年/アメリカ/1時間56分/配給:ノベライズ:小学館文庫 刊、ギャガ・ヒューマックス)

∵公式サイト

【STORY】
ジョン・クインシー・アーチボルド(デンゼル・ワシントン)は勤務先の製鉄工場のリストラで収入減に悩まされながらも、妻デニス(キンバリー・エリス)と息子マイク(ダニエル・E・スミス)と幸せに暮らしていた。
そんなある日、マイクが野球の試合中に倒れ、病院に担ぎ込まれる。検査の結果、マイクは深刻な心臓病を患っており、心臓移植をしなければ数日から数週間の命と医者に宣告される。すぐさまジョンとデニスは心臓移植を願い出るが、ジョンの加入している健康保険では、医療費が賄えないと分かり、病院は心臓移植を了承しない。
なぜなら、ジョンの知らない内に保険の内容が変更されていたのだ。製鉄工場で半日勤務のパートタイマーへリストラさせられた際、補填額上限2万ドルの医療保険へと。
ジョンは高額な医療費を工面するため、勤務先の会社、保険会社、役所などに掛け合うが、保険の上限額は変わらず、生活保護も断られてしまう。家財道具を売り、寄付を募るが、高額な医療費には全然足りない。そして、ジョンはマイクの退院勧告を知らされるのだった。医療費には程遠いながらも、ジョンが苦労して集めたお金を支払ったのに、病院はマイクの命を見捨てようというのだ!
ジョンはある決意を胸に、主治医に「医療費は一生かけても支払う」と懇願する。それも冷たくあしらわれてしまったジョンは、胸の内にあった決意を実行に移す。その決意とは息子の命を救うため、救急病棟に人質を取って立て篭ることだった…。


【REVIEW】
ジョンが息子のマイクを救おうと、出来るだけの手を尽くしても、救う事が出来ない。このままではマイクが死んでしまう。一体どうすればマイクを救うことが出来るのか?そう考えた末に、ジョンは救急病棟に立て篭る。
この映画では、ジョンが犯罪者にならざるえなかった理由を明確に描いていることで、アメリカ社会の医療保険制度の問題、雇用の問題を浮かび上がらせている。この映画では、マイクの心臓病をきっかけに、ジョンがアメリカ社会の問題点に一人で立ち向かっていくのだ。
マイクを救いたいというジョンの強い思い。そして、たとえ自分がどうなろうとも、マイクを助けようとする行動力に見る者は心を打たれるだろう。
ジョンを演じるデンゼル・ワシントン(『トレーニング・デイ』で第74回アカデミー主演男優賞を受賞)の演技に注目して欲しい。彼がジョンを演じることによって、ジョンの魅力、映画の魅力が増しているのは間違いないだろう。所々、私には感情移入しづらい部分もあったが、親子の絆を感じたい人は是非劇場に足を運んで欲しい。

Text:niimura [UNZIP]

Copyright (c) 2002 UNZIP