第24回モスクワ国際映画祭最優秀女優賞(市川美日子)受賞
[ブルー] blue
2003年3月29日(土)、渋谷シネ・アミューズ、新潟シネ・ウィンドほかにてロードショー

監督:安藤尋/原作:魚喃キリコ/脚本:本調有香/プロデューサー:宮崎大/音楽:大友良英/撮影:鈴木一博/スチール:川内倫子/録音:鈴木昭彦/美術:鈴木鏡子/編集:冨田伸子/助監督:久万真路/製作担当:毛利達也、岡田真澄、石川富泰/エグゼクティブ・プロデューサー:横濱豊行/製作:blue PRODUCTION PARTNERSHIP、オメガ・ミコット、広美、衛星劇場/製作プロダクション:オメガ・ミコット/協力:高岡フィルムコミッション、にいがた映画塾/出演:市川美日子、小西真奈美、今宿麻美、仲村綾乃、高岡蒼佑、村上淳、河原崎建三
(2001年/日本/1時間56分/カラー/配給:オメガ・ミコット、スローラーナー)

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© Rinko Kawauchi
【STORY】
海辺の街の女子高に通う桐島カヤ子(市川実日子)は、高3になり進路を決められずにいた。そしてどこか大人っぽいけど派手ではなく物静かな同じクラスの遠藤雅美(小西真奈美)が気になっていた。そんなある日、カヤ子が遠藤を仲間との屋上での昼食に誘ったのがきっかけとなり、遠藤はカヤ子を自宅に招き、2人は急速に仲良くなる。
カヤ子はいままでの仲間たちに少しだけ違和感を感じ、少しずつ遠ざかっていく中で、ある出来事から以前の親友になじられる。そんなとき、遠藤は落ち込むカヤ子を海に誘い、カヤ子は遠藤に自分の素直な気持ちを告白する。
高3の夏、ふたりの女の子の繊細で傷つきやすく、無垢だからこそ切ない。2度と訪れることのない大切な放課後のストーリーが刻まれてゆく…。

【REVIEW】
魚喃(なななん)キリコのコミック「blue」を、新鋭、安藤尋監督が映画化。繊細なタッチが印象的なこの作品は、女子校特有の雰囲気を醸しだしながらもどこか切なくアンニュイで、一見、悩みなどなく毎日楽しそうに暮らしているように見える彼女たちの、さまざまな思いや悩みを、とてもあたたかく見守りながら撮しているといった印象を受けた。

私も8年間女子校に通っていたので、スクリーン中の彼女たちが抱く感情や行動には、共感だったり懐かしさだったりと、今の自分にはなくなってしまった甘酸っぱい感情を思い出し、観賞後はやや感傷的な気持ちにさせられた。

また、主人公桐島カヤ子を市川実日子が演じたのことも「blue」の雰囲気にはまっている。個人的な意見になってしまうが、市川実日子の表情にはとても強い意志があり、この強い表情を持つ1人の女の子が、はじめは大勢いる中の1人でしかなかったのが、表情と同様の強い意志をもち、大切で居心地のよかった放課後から巣立ってゆこうとする様が、黙っていても伝わってくる。

コミック「blue」を読んだことがある人なら「blue」の雰囲気を想像できると思うが、私は逆にコミックを読まずに映画を観たので、この場でこの映画について詳しく述べることができないほど、先にも述べたように感傷的になっている。私の中での「2度と訪れることのない大切な放課後」を振り返りながら。

Text:kameda [UNZIP]


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