[サラマンダー] Reign of Fire
2003年5月17日より日劇3ほか全国東宝洋画系にて公開

監督:ロブ・ボウマン/製作:ロジャー・バーンバウム、ゲーリー・バーバー、リチャード・ザナック、リリ・フィニ・ザナック/製作総指揮:ジョナサン・グリックマン/出演:マシュー・マコノヒー、クリスチャン・ベイル、イザベラ・スコルプコ、ジェラルド・バトラーほか
(2002年/アメリカ/101分/配給:東宝東和)

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【STORY】
現代のロンドン。12歳のクインは、いつものように母が働く地下鉄工事現場へと向かった。地下にぽっかり空いた空洞を覗き込んだクインはそこで、太古からの眠りから覚めた巨大な生き物を目にする。それこそが後に世界を恐怖に陥れる巨大竜サラマンダーだったのだ。炎を吐き、暴れ始めたサラマンダーから逃れたのはただひとりクインのみ。サラマンダーは驚くべき勢いで世界中に繁殖し、人類を喰らい、文明を破壊し尽くして行った。近代兵器も核兵器も彼らの前では無力。わずかに生き残った人類は都市を捨て荒野に要塞を築き、彼らの攻撃から身を隠すしかなかった…。

それから20年。成人したクイン(クリスチャン・ベイル)は仲間とともに要塞に暮らしていた。誰もがサラマンダーの恐怖と餓えに苛まされ、クインはリーダーとして、不安にかられる仲間たちを守るだけで 精一杯だった。そんなある日、クインたちの要塞にアメリカ人たちがやって来る。彼らはヘリコプターを携えたケンタッキーの義勇軍。国防省の飛行機を復元して海を渡ったものの、仲間と燃料を失い、要塞で休ませて欲しいと言うのだ。しぶしぶその要求を呑むクインだが、彼らのリーダー、ヴァンザン(マシュ−・マコノヒー)と激しく衝突してしまう。ヴァンザンは、ただ身を潜めているだけのクインらを責め、ともにサラマンダーと戦うべきだと詰め寄る。そして、自分が倒したというサラマンダーの牙を見せ、こう囁いた。「彼らの目は、夕刻にはよく見えなくなる…」。ヴァンザンこそはサラマンダーと戦える、唯一の男だったのだ…。

【REVIEW】
現代に伝説の竜・サラマンダーが蘇る!-----ファンタジーの世界の生き物である伝説の竜が現代で暴れ回るのだから一体どんな展開だ?と思っていたら、圧倒的な破壊力で、始まる早々地球を焼き尽くし、時代は20年後になってしまう。摩天楼を飛び交う竜と戦闘機のバトルシーンを期待していたので、ちょっと拍子抜けしてしまった。しかし、空中戦専門のアークエンジェル隊とドラゴンのバトルは迫力万点であった。上空を飛び交うサラマンダーに対して地上にいる人間はなすすべが無い!それでは奴等を地上に叩き落してしまえ!とばかりにヘリコプターから飛び降りて肉弾戦を挑むのである。ヘリコプターから飛び降りても、気の効いたSF映画みたいに空を飛んだりする訳では無いので、まッ逆さまに地上へ落ちて行く訳なのだが、その僅か10数秒の間に囮役が引き付けたサラマンダーに後ろから捕獲網をかけて翼を奪い地上へ叩き落す-----文字で説明するとまどろっこしいが、このやり取りが圧倒的なスピード感とスリルで描かれるのである。近代兵器を使い伝説の竜を倒すと言うリアリティーとサラマンダーと言うアンチリアリティーの対決が痛快である。「このシーンだけでもこの映画は見る価値ありだな」と思ってしまった。実は全体を見通すと多少ストーリー展開に難有りかな?と思ってしまうのだが、この戦闘シーンが良いだけに詰めの甘さが惜しい気もする。よくよく見るとツッコミどころも多いのだが、スリリングな映画が好き!迫力有る戦闘シーンが見たい!…でもちょっとジーンとウルウルきちゃったりもしたいって人には、細かい事言わずに見るのがお勧めです。

成長した砦のリーダー、クインを演じるのはクリスチャン・ベイル。『アメリカンサイコ』(00)では狂気に溺れて行くサイコキラーをスタイリッシュに演じてましたが本作では髭面で頼りなげな悩めるリーダーなので、資料を読むまでベイルだとは気が付きませんでした。頼りなげなクインに対してマッチョなヤンキー、ヴァンザンを演じるのはマシュ−・マコノヒー。日本では『U−571』が有名ですが本作ではスキンヘッドに顎鬚生やして筋肉隆々のマッチョマン。サラマンダーと戦わずに隠れる事で生き残ろうとするクイン達に激を飛ばし「戦え!」と叫ぶ様は格好良いです。マッチョなスキンヘッドと言うと『トリプルX』のヴィン・ディーゼルや『トランスポーター』のジェイスン・ステイサム(彼の場合は五分刈りハゲですが…)等最近の流行りなのですかね?しかしちょっと老け顔のマシュ−・マコノヒーは『ウェディング・プランナー』(01)の色男とは全く別人ですな〜。『フレイルティー/妄執』(01)で見せたサイコキラーっぷりもなかなかぶっ飛んでいましたけど本作もある意味飛んでます! 男臭いこの作品の紅一点、アークエンジェル隊のヘリコプターパイロットで、最後までクインと共にサラマンダーと戦うアレックスを演じるのはイザベラ・スコルプコ。89年に歌手デビューし、『007/ゴールデンアイ』ではボンド・ガールを演じ、『バーティカル・リミット』(00)が記憶に新しいところである。時に気丈に時に女らしく表情を変える様が魅力的。ある意味、この映画はキャストの新しい魅力を見る事ができる掘り出し物の様な気も…(笑)。

余談であるが本作の完成披露試写会場にはなんとイギリスから急遽取り寄せたと言う(?)サラマンダーの血と肉の試食コーナーがあった。赤い血のジュースとビーフジャーキーの様な干し肉を試食してみたのだがこれが結構美味かった。劇中ではサラマンダーの死体からは悪臭が漂うと言っていたが「なかなかどうして、いける物であるな〜」…などと本気で思ったわけではありませんが。(笑) 多分、血のジュースはハスカップジュースでしょう。ちょっと酸味があるのが特徴ですが、北海道ではドラキュラの葡萄ジュースとして有名です。肉片の方は多分ビーフジャーキーでしょうが、柔らかくスパイスも効いていて酒のつまみには持って来い!と言う感じです。食べ終わった時にはちょっと喉が乾いてビールが欲しくなってしまいました。(笑)

Photo:harry

Text:harry

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