[二重スパイ]
2003年6月7日より全国東映系にてロードショー

監督:キム・ヒョンジョン/製作総指揮:パク・ムスン/出演:ハン・ソッキュ、コ・ソヨン、チョン・ホジン、ソン・ジェホ他
(2003年/韓国映画/123分/ギャガ・ヒューマックス・東映 共同配給)

∵公式サイト

【STORY】
1980年代、冷戦下。脱北者を装い韓国に潜入した北朝鮮スパイ、イム・ビョンホ(ハン・ソッキュ)は、偽装亡命の疑惑を晴らし次第に韓国側の信頼を得ていく。そして3年目、ついに最初の指令が与えられるー「DJに接触せよ」。ビョンホは暗号を解読し、ラジオDJのユン・スミ(コ・ソヨン)と接触することになる。彼女もまた、生まれながらの北のスリーパー・スパイ(韓国国内に潜伏して活動するスパイ)であった。圧倒的な孤独と絶え間ない緊張のなか、協力して任務を完璧に遂行した2人のスパイは、次第に心惹かれる。「国が死ねと言えば死ぬだけだ」と信じた男と「北でも南でもない場所で愛に生きたい」と願った女の運命はいかに…?

【REVIEW】
“あの『シュリ』を超えた! ”なんていうコピーに「あぁ、またか…」と思う人もいると思うけど、意外や意外、この映画、なかなか面白いのである。『シュリ』にも主演していたハン・ソッキュは「主演する映画は必ず当たる」と言われる名優。取り立ててハンサムな訳ではなく、むしろ地味な印象さえ受けるのだが、見終わってみると彼でなくてはならない役だったような気にさえなるのだ(そもそもスパイが超ハンサムだったら目立ち過ぎてリアリティに欠けるのかもしれないが…)。

肝心の物語にも、最後まで飽きることがない。二重スパイをテーマにした映画と言えば、『CUBE』のヴィンチェンゾ・ナタリ監督の『カンパニー・マン』が記憶に新しいところだが、本作ではスパイ活動そのもののサスペンス的要素だけでなく、スパイでありながらも恋をしてしまう人間の心の揺れなどがきっちり描かれていて、興味深い人間ドラマになっている。

もちろんサンスペンスとしても楽しめる。迫力ある冒頭の偽装亡命シーンには一瞬にして夢中になってしまったし、裏切られるのを期待しつつも、「どう来るか?」と考えながら映画を観るのはサスペンス映画の楽しみのひとつだ。

Text:nakamura [UNZIP]


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