[テープ] TAPE
2003年7月5日より恵比寿ガーデンシネマほかにて公開

監督:リチャード・リンクレイター/原作・脚本:ステファン・ベルバー/出演:イーサン・ホーク、ユマ・サーマン、ロバート・ショーン・レナード
(2001年/アメリカ/1時間27分/配給:メディア・スーツ)

鬼才リンクレイターによる時効寸前(?)恋愛サスペンス劇!
少数先鋭ガチンコ勝負の演技で魅せる「恋愛論」映画の逸品。

【REVIEW】
のっけから妙なサスペンス感覚で観る者を惹きつけるのだが、派手な事件や無茶なアクションなんて一切ないので、ちと拍子抜けする人もいるかもしれない。ただし登場人物達の心理の中では「人生の一大事」ってな衝撃的事件が起こってる。だから最初のドキドキ感は持続したまま。ひょっとして観た後のカフェでの激論にまで、継続するかもしれない。これは「恋愛論」を語り倒したくなるような映画、だったりするのだ。

物語の舞台はミシガン州の安モーテルの一室。登場人物は近所で高校まで一緒だったという幼馴染み3人だけ。小さな同窓会って感じになるはずの設定だが、実はここに3人が揃うのは、やさぐれダメ男ヴィンセント(E・ホーク)27歳の画策による。まず故郷の映画祭に来た新人映画監督である旧友ジョン(R・S・レナード)に会って、10年前のある出来事について告白させる。で、“テープ”に隠し録りしたと明かす。そして、かつて二人と関わったエイミー(U・サーマン)を合流させ、気詰まりな空気の中で彼が求めたのは、「過去の恋愛事件の真相調査」だった。だがこの思惑は、三者三様のキャラや記憶の食い違いから、なんだかズレた方向へ…‥。『恋人までの距離<ディスタンス>』『ウェイキング・ライフ』の鬼才リンクレイター監督が挑んだ、時効寸前(?)の恋愛事件をめぐる“薮の中”的ミステリーは、小粒だがピリリとくる逸品であった。

Text:梶浦秀麿


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