[ジョニー・イングリッシュ]
2003年10月4日より日劇3ほか全国一斉ロードショー

監督:ピーター・ハウイット/製作:ティム・ビーヴァン、エリック・フェルナー、マーク・ハッファム/キャスト:ローワン・アトキンソン、ナタリー・インブルーリア、ベン・ミラー、ジョン・マルコヴィッチ、ティム・ピゴット=スミス他
(2003年/アメリカ/87分/配給:UIP)

∵公式サイト

【STORY】
ジョニー・イングリッシュは諜報局の事務員で準諜報部員。いつも大活躍する日を夢見て、諜報部員たちをサポートしていた。そんなある日、諜報部員が全員死亡する事故が発生し、繰り上がりでイングリッシュが諜報部員に昇格し、英国王室の戴冠用の宝玉を取り戻すよう指令を受ける。憧れの諜報部員になって舞い上がったイングリッシュは優秀な部下ボフと一緒に事件解決に向かうのだが…。

【REVIEW】
『Mr.ビーン』でお馴染みのローワン・アトキンソンの新作はなんと英国秘密諜報局のスパイ役。007やオースティン・パワーズといった名物キャラがいる中、さらに濃いスパイ・キャラ、ジョニー・イングリッシュが誕生した。

元々は諜報部員を目指す諜報局の事務員なのに、エージェント全員死亡という不慮の事故でスパイに任命されてしまう時点ですでにゆるゆるなんだけど、諜報部員に憧れていたイングリッシュが張り切って事件の解決に向かえば向かうほど起こすのはドタバタ劇。諜報部員だから格好良い車や秘密兵器が与えられているし、軍や兵器係も自由に動かしているのに、使いこなせていないのがこれまた情けなくて、ローワンの脱力系演技が発揮できるキャラクターに仕上がっている。

最初はビル・マーレイの『知らなすぎた男』やスティーブ・マーティンの『サボテン・ブラザース』のような勘違い型で巻き込まれていく(巻き込んでいく?)展開なのかと勝手に思っていたから、もしそうだったとしたら、またか…と面白さも半減していたに違いない。肝心なところでボケをかましまくり、とりあえずその場を取り繕うことで立場を守るイングリッシュの立ち居振る舞いにMr.ビーンの姿がかぶってしまうのは仕方がないとして、ただのおバカではなく、とことん勘違い&ボケたキャラクターに設定してあるところも面白い。きちんと考えて事件解決の糸口をつかんだり状況判断も出来るのに、結果が伴なっていないあたりが知的なローワン(オックスフォード大学で学位を取得!)が生み出したキャラ設定なんだろう。

共演のベン・ミラの微妙な冷静さを保つ部下の設定や、ジョン・マルコヴィッチの妙に演技力たっぷりな怪しいフランス人、ちょっときつめなユーモアが散りばめられた展開など、人物の描写や物語の骨子がしっかりとしているのは、本家007の『ダイ・アナザー・デイ』の脚本を担当したニール・パヴィスとロバート・ウェイドの参加が大きい。大爆笑が連続するコメディーというわけでもないし、冒険活劇を見終わったような達成感はさほど無いけれど、イギリス独特のひねった笑いとローワンが好きな人にはきっとツボを突いてくる仕上りになっていることだろう。

Text:うたまる(キノキノ



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