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シェイクスピアとパンクスの遭遇? イギリスの鬼才、アレックス コックスの知性と感性が世界を震撼させる、復讐の悲劇。 【REVIEW】 『レポマン』『シド・アンド・ナンシー』などで世界中にカルトな支持を得るアレックス・コックスが、17世紀のイギリスでシェイクスピアの合作者によって書かれた古典劇を映画化。 2011年、デカダンの横行するリバプール。かつてその独裁者に妻を殺された主人公が、復讐を果すために故郷へ舞い戻るところから物語は始まる。 リベンジを果すまでの過程には、時代や権力、欲望や名誉といった、人間が抗い難いヘビーな要素が執拗なまでに描写される。それでもコックス流のブラックユーモアやストーリーテリング、そして時代を忘れない独自の感性は、リベンジがトラジディ(悲劇)になる瞬間まで観る者を飽きさせることがない。 グラムロックファッションと古典劇を彷佛させるクラシカルなドレスが織りなす重厚でゴシックな映像世界、日本でも「Tubthumping」のヒットが記憶に新しいチャンバワンバの近未来的サウンドなど、様々な時代やスタイルを融合させたスタイリッシュな演出効果にも隙がなく、映画ファンならずとも大いに楽しめる要素が満載。 そのアナーキーな作風から、パンクス世代の代弁者であるとか、暴力的なイメージだけが先行してしまいがちなコックスの、アカデミックな世界観を堪能できる作品。 Text:yukiko kodama Copyright © 2003 UNZIP |