[エヴァとステファンとすてきな家族] Tillsammans
2003年11月29日より銀座テアトルシネマにてロードショー

監督・脚本:ルーカス・ムーディソン/プロデューサー:ラーシュ・ヨンソン/出演:エンマ・サミュエルソン、サム・ケッセル、リーサ・リンドグレン、ミカエル・ニュークヴィスト、グスタフ・ハンマシュテーン、アニア・ルンドクヴィスト他
(2000年/スウェーデン/106分/配給:ビターズ・エンド )

∵公式サイト

一緒に生きていくって素敵!独り居が好きな人にこそ観てほしい。
ズズッとズームなカメラワークにも注目の北欧ムービー。


【REVIEW】
「みんなといるから、しあわせがある」まさにこの言葉通り、愛すべき人々によって繰り広げられる笑いあり涙ありの人間模様。

夫婦喧嘩の末、ママは子どもたちを連れて家を出る。カラフルなペイントがかわいいオンボロワゴンに乗って。大きなメガネをかけた姉とパンダ顔の弟。行き先は個性的な住人たちが暮らすコミューン:Together。ヘンテコな共同生活に馴染めず、離れているパパが恋しい。でもパパはドジばかりで頼りにならない。いつしかコミューンの暮らしに溶け込んでいく子どもたち。果たしてパパとママは仲直りができるのか?

時はフラワームーブメント全盛期の70年代。多様化した価値観により、自由という言葉に最大の権限が与えられた頃。Togetherの住人たちも、もちろん各々自由を主張する。しかしその自由がいつしかわがままに姿を変え、誰かを傷つける。自由ということに溺れてしまいがちな人間の薄弱さ。自由に疑問を抱きつつ、自由という言葉に丸め込まれていた男がぶちきれるシーンは傑作。

どんなに強がってみたって、やっぱり人間ひとりで生きていくのはとても寂しい。寂しくて話し相手が欲しくて、水道管を自ら壊し修理工を招くなんてことも起こり得る。ひとつ屋根の下はじんわりと温かい。「ハートウォーミングなホームムービー」なんて言葉にはそっぽを向いちゃう、そんな人にこそきっとしみわたるものがあるはず。

Text:kaji noriko


Copyright © 2003 UNZIP