A TALE OF TWO SISTERS
もう一度観たくなる、ドリームワークスが史上最高額でリメイク権を獲得したホラー

REVIEW:
数年前に始まったジャパニーズ・ホラーのストリームは、次第に勢力を広げ、香港やタイ、そして韓国など、アジア圏に大きな影響を与えています。そして、『ザ・リング』や『仄暗い水の底で』でも判るように、ネタに飢えているハリウッドは、アジアならではの湿度のある恐怖感に目を付け、リメイク権獲得競争が激しく行われるようになりました。そんな中、スピルバーグ率いるドリームワークスが過去最高額でリメイク権を獲得したのが、本作『箪笥』です。

ソウル郊外に佇む一軒家に、二人の姉妹、スミとスヨンが長期入院から戻ってきた。それを迎える継母のウンジュはどこか冷ややかで、父の顔もどこか思い詰めている。一方、姉のスミも継母に対して明らかに毛嫌いする態度を見せ、妹スヨンは怯えていた。その夜、スヨンは部屋に何かの気配を感じ、スミのベッドに潜り込んでくる。スヨンを抱きしめ、守ってあげようと誓うスミだったが、そのスミが悪夢にうなされる。死んだ母親の幽霊が現れるのだ。その悪夢以来、奇怪な現象が起き始める。この家もウンジュもおかしい…。ある日、ウンジュは箪笥の中にスヨンを閉じこめ折檻した事実を知る。そこから、家族の近郊は崩れ、箪笥に秘められた“ある記憶”が蘇るのだった。

というのがおおまかなストーリーだけど、ここには書きたくても書けない、様々な謎が仕掛けられているのです。『リング』や『女優霊』のような得体の知れない怖さを含みつつも、『シックス・センス』『ジ・アザーズ』のような大技も繰り広げられる、盛りだくさんの内容。最初のほうは展開が淡々としているので、なかなか作品にのめり込めないかもしれないけれど、1/3過ぎたあたりからは、その淡々としたシーンの存在理由も納得するし、きっとスクリーンから目が離せなくなるでしょうね。

また、映像の美しさも秀逸で、鮮やかな色彩やコントラストの高い映像が用いられ、綺麗な調度品と相まってホラーでありながらも「美」を決して忘れないこだわりを感じます。聞けば、韓国映画で初めて美術監督とアートディレクターを起用し、衣装、小道具、インテリアに至るまで徹底したスタイルの追求が行われたのだとか。…っていうか、今まで韓国映画に美術監督がいなかったことにびっくりするけど、それでもこだわっただけある映像が堪能出来ます。舞台となるソウル郊外の家も約8000万円を投じて作ったというから驚いちゃいます。

謎が謎を呼びながらも、徐々に全体像が見えていくゾクゾクッとした展開はなかなかのもの。観終わった後にもう一度観たくなるでしょう。ちなみに、撮影中は女性の囁き声や、モニターだけに写った妙齢の女性、天井裏からのネコの鳴き声など、見えない存在に終始悩まされていたそうです。ああ、そっちのほうが生っぽくてぼくは怖いです。

Text:UTAMARU (KinoKino)

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『箪笥』
2004年7月24日より新宿シネマミラノ他にてロードショー 
(2003年/韓国/115分/配給:コムストック)

CAST&CREW:
監督:キム・ジウン
出演:イム・スジョン、ムン・グニョン、ヨム・ジョンア、キム・ガプスほか

REVIEWER:
UTAMARU

EXTERNAL LINK:
『箪笥』公式サイト