●『リムジンドライブ』山本政志監督
独占ファンキーちょい脱線ロング・インタヴュー!


「コギャル in NY!ってなお話」------それが山本政志監督の最新作『リムジンドライブ』だ------っていうか、簡単に言うならそうも言えるんだけど、実はどうしてなかなか深い、ファンキーな映画なのである。リアルなギャル系の女の子エリ(仲祐賀子)が、何故かNYに忽然と登場して、運転手付きの高級リムジンをレンタルしたりするところから、物語は始まる。リムジン運転手のマリーク(T.M.スティーブンス)43歳も、ちょっと唖然。いつもならファッキンなエグゼクティブ野郎やら、モデルのバカ女どもなんてのを、高級ホテルやら高級ブランド・スポットに送り迎えする日々なのに、コイツはちょっと勝手が違う。彼女の行く先といったら、下町のフリーマーケットや中古CD屋、食事もどこでもありそうなピザ屋さん……。ダウンタウンのアチコチで、場違いなリモを停めて待たされる身にもなれっちゅーんだ。あげくに日本食のコンビニに寄って、納豆やら刺身やらべったら漬けやら塩辛やらナメコやら、臭い日本食を山ほど買い込んで来たと思ったら、車ん中で全部ゴチャマゼにして、コンビニ袋でシェイクしてみせるわ……。

実は彼女、半年前にNYに「一旗揚げに」旅立ったカレシを追ってやって来たのだが、そいつの部屋にはモデルの小夜子もどきの女がいたのだ! で、「日本食コンビニ袋シェイク」爆弾は、ちょっとした復讐に使用されるのだった……。だいたいNYへの渡航資金も、下北沢の路上でやった「インチキ石占い」がたまたま当たったので小金ができたって次第。そんなフラリと思いつきでやってきたような彼女が、リモの運転手にしてバツイチの黒人オジサンを巻き込んで展開する一騒動ってなラインは、エリの何人目かのNYでの彼氏となるナオ(鬼丸)のキレた暴走も加わって、複雑でファンキーな狂想曲を奏でてゆく……。あ、ここんところの山本作品に皆勤出演してるパキスタン人、チョードリー・イクラムのコミックな味も見どころのひとつだな。

------ってな作品紹介は、コッチ[→レビュー欄]にまかせておこう。さらに、もっとディープな『リムジンドライブ』作品評ならば、図書新聞6/9号と6/16号掲載の阿部義昭による「アホは世界大のシャッフルを踊る」(前後編)を要チェキ、ということにしておく(手抜きだ!)。では、『リムジンドライブ』公式HPも見てもらった上で、さっそく山本政志監督・直撃インタヴュー(いろいろ脱線オマケつき!)へGOだ! 『リムジンドライブ』の魅力や、次回作『熊楠KUMAGUSU』への意気込みなどなどを、ちょっと癖のあるボケツッコミもいろいろ交えて(笑)、ディープに訊かせてもらってきたゾ。

■■『リムジンドライブ』の魅力------コギャルというコミュニケーション・モデルの可能性■■


------『リムジンドライブ』、面白かったッス。山本政志監督に会えるというので、この2日間で『ロビンソンの庭』(87)、『てなもんやコネクション』(90)、『アトランタ・ブギ』(96)、『JUNK FOOD』(97)、そして最新作『リムジンドライブ』(2001)まで一気に見てみました。特に最初の2作は、10年前くらいに大阪にいた時に観ていたので、凄く懐かしかったんですが、そのスケールのデカさや無茶苦茶な面白さ、映画的な自由さを、改めて凄いと思いました。その後の3作は、それぞれ監督らしい味もあり、ジャンル横断の無茶苦茶さも相変わらずありながら、どこかちょっとこじんまりとしてませんか? 若干、イチ観客としては不完全燃焼な感じがあって……。

●山本:「『熊楠KUMAGUSU』(1991-2002予定)以降の3作は“それ”がテーマなの。『アトランタ・ブギ』『JUNK FOOD』と、今回の『リムジンドライブ』の3部作は」

------敢えて?(『てなもんや』の次に撮影開始するも資金難などで中断しちゃったのが『熊楠KUMAGUSU』である。次回作としてついに登場する予定)

●山本:「敢えてというか、縛りをかけてるし、全力投球するのは『熊楠』以外有り得ないんだよ、全身全霊をかけてやれるのは。だから軽い感じの良さを出してるつもりなんだけどな。『JUNK』も淡々と撮ってるし、今回のも軽いテイストで撮ってるし……」

------その良さは感じます。『リムジン』でのコギャル(とかガングロ系)って、日本ではアフロアメリカン・ワナビーズ(黒人に成りたがり)みたいな現象として捉えられてますが、今回そのコギャルを、本場のアフロアメリカンのいるアメリカに置いてみたら……っていうアイデアの面白さが、まずありますよね。

●山本:「あのさ、アイデアとか、そういうレベルで撮ってないんだよ。全然、図式的に世の中を考えてはいないし、まるっきりそんなの無いんだよ。というのは、俺、一年間アメリカに住んでいたでしょ(97年9月より1年間、文化庁派遣芸術家在外研修員としてNYに滞在していた)。で、どこいっても一緒だっていう自信もついてるし……。たとえば“これからは国際化だ”とかいってて、いつまでたっても日本人はヘイコラしてるわけだよ、どこにいっても。あるいは逆にナショナリズム背負っていくわけだよ、日本人はこうじゃいけない、みたに。それ、両方ともバカだと思うんだよ、そういう時代は終わってると思うんだ。そう思いながらNYに居たから、じゃあ“そういう映画”を撮りたいな、と。で、日本に帰ってきたら、ギャル系がいっぱいいた。もう2年ぐらい前だからね、撮ったのは。コミュニケーションする時に、そういう変な問題意識をもってやってくっていうのは、今そっちが言ったような、上から見た図式的なものになっちゃうんだよ。そういう発想ってのは、俺はないんだよ。もっともっと自分の生活と映画がゴッチャゴッチャになる、ゴッチャになって映画を作ってくのが自分のテイストなんだ。で、その時にギャル系が目についたんだよ。まあ話してみると、生活圏が小さいんだな、自分らのまわりのことしか興味ないし、ファッションしか興味ないし。ただ、明るいし、このキャラ自体が、今言ったようなコミュニケーション、次のステップのコミュニケーションになると思ったんだ。環境を変えて、そこで生きていったらどうなるんだろう?ってな。そこにはナショナリズムでもないし、ヘイコラして相手に合わせていくコミュニケーションでもないし、次のステップがあるんじゃないの? そう思ったんだよ」

------コギャルの“気負わない”って感じとかが可能性としてある?

●山本:「そうそうそう、『どうでもいいんだよ』みたいな感じ? それをやりたかったんだよ。あのさ、論文じゃないからね、俺の映画は。俺、そういうの大嫌いなんだよ。映画っていろんな要素があるわけ。『ロビンソン』でやったアートみたいなのもあるし、『てなもんや』みたいなハチャメチャなのもあるし、『闇のカーニバル』(82/16mm映画)みたいなバイオレンスでドキュメンタリーみたいなテイストもあるし……。その全てが映画だと思うんだ。で、俺は映画やってる初期の頃、世界の国際映画祭まわりとかやってさ(82年に処女作『闇のカーニバル』でベルリン映画祭フォーラム部門、カンヌ映画祭批評家週間に選出されたのを皮切りに、その後、87年『ロビンソンの庭』でベルリン映画祭・ZITTY賞、ロカルノ映画祭・審査員特別賞などを受賞、90年の『てなもんやコネクション』もインド映画祭招待作、97年『JUNK FOOD』もベルリン映画祭やトロント映画祭に招待されている)。ヨーロッパってアート尊重主義だから、アート系はすごく評価するんだよ。だけどある時期から、そのやり方自体が化石っていうか遺物に見えてきて、そういう価値観ってのは困っちゃったもんだ、と思い出したんだ。ちょうどアジアとつき合いだしたし」

------アジアの映画人達と、ですね?

●山本:「そうそう。もう何かそういうしゃちほこばったもん無えし。いいじゃんいいじゃんみたいな。NYもそういうテイストがちょっとあんだよな。これ、今言ったのと全部つながってくるんだよ、ナショナリズム云々とかとさ。だから、もっともっと固いもの全てが溶ければいい、アートって“枠”もそう」

------じゃあ逆に、そこには山本監督流の“インターナショナリズム”があるわけじゃないですか?

●山本:「インターナショナルっていうのかな、どうでもいいっちゅうこっちゃ(笑)。どーでもいい。人間がどんどんアタマ開いて、感覚を開いていけば、そういうもののレッテルが見えなくなってくると思うんだよ、意味無いものに気がつく、わかってくるというか。ギャルっていう枠も結局はそうなんだよ、ギャル、チーマーって枠もみんなそうだよ。全てそうなんだよ。みんな凄くいろんなものに縛られてるんだよ」

------括りはありますね。

●山本:「映画の範疇でもそう。そういうアートだ、とかいう評価? 未だに片やアートで、違うものは違うんだ、みたいな。さっきいったような、ナショナリズム云々も、人とつき合う時は、どこ行っても同じじゃないかなって思うんだよ」

■■最近のナショナリズム批判論議も、机上の空論してんじゃねえ、みたいな■■

------確かにナショナリズムって、この春の教科書問題とか、去年の石原都知事の三国人発言が差別だとか、昨今、問題視されてますよね?

●山本:「あれ俺、差別だって思わないんだけどな。甘ちゃんが知らないだけで、俺、新宿の裏とかよく知ってるから、ホント、拙い状態なんだよ。最近の事件、ほとんどチャイニーズ・マフィアが絡んでる事件って多いんだよ。だから俺、ああいうヘンな民主主義みたいなの、大っ嫌いなんだよ。嘘つけって思う。石原慎太郎がいい悪いは別にして、あれを批判するやり方って凄いエセ的な感じがあって、じゃあテメエ、歌舞伎町の裏を紹介してあげるから、行ってみてよ。それでも言えるんならそいつは格好いいと思うけど、現実を知らなくて、凄く図式的に机の上で語ってるじゃん。人種差別だ、とかさ。あれは逆に差別だと思う。日本人同士でも鬱陶しい奴は鬱陶しいって言えるでしょ? それを逆に言えなくなってる。凄いそれも“枠”だと思うんだ。一緒じゃんそれはどこでも。ホント、逆の反動だと思うよ。不思議な感じで、頭ん中で縛られてると思う。『外国人だから、優しくしなければいけない』とかね」

------それはアメリカで、昔は“人種のるつぼ”って全部混ざり合って平等になるみたいな言い方があって、今はそれが“人種のサラダボウル”ってな風に、サラダのそれぞれの具が混ざり合わないままバラバラのままゴチャゴチャになってるのが面白いんだって言いますよね。それで、“差別反対”って大きな話はあるとしても、みんなその、面と向かってお互いの出自を、チャイニーズならチャイニーズ、黒人なら黒人で、平気で人種間の口喧嘩なんてしてるもんじゃないですか。ああいう感じってのが割と健全だなって思うんですが。

●山本:「うん、そう思うよ。なんか、今って腫れ物に触るような感じなんだよな」

------まあ、実際は難しいんですけど……。

●山本:「難しくないと思うよ、凄い簡単な事で。普通通りにやればいいだけの話で、そこにいろんな情報が入りすぎてるんだと思う、常識だとか、エセ教育みたいなのとか。外人には優しくしなくちゃとか、外人はこういう風習なんだから合わせなくちゃいけないとか。そこに全ての嘘があって、だからギャル的な感覚のいいところは、あまりそういうのが無いことだと思う。外人だからどうのっていうようなのが……。だから物事にはいつも、いい面と悪い面があってさ。ところが一般常識ってのはいっつも、すぐ悪いところばっかり見ようとするんだよ。チーマーは悪い、ギャルは悪いって……。17歳の犯罪があれば、すぐ17歳は何とかだって、すぐに1個の簡単な箱の中に入れたがるんだよ。箱の中には個性がいっぱいあるんだけど、箱として見ちゃう、名前つけて。それで安心してるんだよ。それは凄くいい加減なやり方だと思う、人を見る目としては。だからそういうのとは一切、触れ合いたくないっていうか(笑)。それにつき合うより、もっと自由だぜって自分のやり方でやっていった方が、楽じゃん。だから、自分の映画の作り方にしても、そうなんだ。今回一人で行ってやったじゃん。完璧に一人だから、それによって爽快感があるんだよ。自分を試す意味ももちろんあるし。そりゃ一人でアメリカ行ってさあ、ゼロからやっていくって、なかなか大変でもあると思うんだよ。でもやってみたら、もう面白いって印象しか残んないし、こういう風に軽くいけるんだよってのは、今言ったような全部、自分のなんか、動いてゆくアクションがあるじゃない? この机の上でパズルをはめてみて、構造を俯瞰して、えーここはナントカ学的に見ると……とか(笑)、そんなの関係無いんだよ! どんどん中に入っていって動けばいいんだよ。動くってのは、その瞬間瞬間に自分が試されるから、そこで俯瞰して、え〜と、ちょっと待って下さいよ、これは歴史的に見ると18xx年の……とかって、ウルセーバカ野郎ってな感じで(笑)。回転していかないと、走っていかないとダメなんだよ、それが自分の映画なんだよ。自分の映画の作り方っていうか。パズル作るんじゃなくて、行けばいいの。今みたいなこと、たとえばコミュニケーションがなんとかって理屈を持ったとしたら、自分が実際、実験動物としてアメリカに行って映画撮るってのが一番いい」

------自分が実験動物!

●山本:「一番わかりやすいでしょ? 自分のノウガキが通用するのかしないのか」

■■一人でNYに行って、映画を撮る方法とは?■■

------具体的に、一人で行ってできるもんなんですか?

●山本:「できたからできたんだよ」

------例えば、ベトナム難民のマフィアが出てきますが、その役者さんが本当にベトナム戦争時の難民だったってエピソードがあるのを読んだんですが、どうしてそんなキャスティングができるのか?

●山本:「そりゃオーディションだよ」

------いや、そりゃライン・プロデューサーが仕切るんでしょうけど、まずプロデューサーをどこから見つけてくるのかとか、映画を撮りたいと思って、潤沢な予算も持たずに一人ですぐできるものなのか? 見当もつかないんですが……。

●山本:「うん。まず、ま、住んでたから友達がいるからさ。で、最初フランス人とイギリス人のヒッピーの溜まり場みたいな所に転がり込んでたんだけど、そこで『どーしょうかな? なんかいい方法ねぇかなぁ』って、そこのフランス人の野郎に、俺、白人嫌いなんだけど(笑)イチオー相談して。それで何人か紹介してもらったあたりから始まって。それから、スパイク・リーは知り合いだから、スパイクのところでも『誰かいねえかな?』って尋ねて、スタッフとか制作関係者とかに何人かに会って。そういうのをどんどんあっちこっちでやってたら、ライン・プロデューサーの候補が何人もくるの。そっからよ」

------で、まずサラ・ジィレンスティアナをライン・プロデューサーに選んだと。

●山本:「もう凄いいろんな人に会ったよ。その中からサラがいいなと。で、彼女に金から全部仕切ってもらって。俺、そこは一切口をだしてないから」

------今回、監督お得意の、いつものゲリラ撮影などは結構やりにくかったようですが……。

●山本:「最初だけだよ、最初だけ。地下鉄のシーンとか。というのはアメリカは個人責任の国だから、ライン・プロデューサーの責任の範疇の中に、自分が責任取れないことは入れたくないんだよ」

------ああ、彼女の責任問題になるから……。

●山本:「責任問題ってんじゃなくて。だって自分がプロフェッショナルで、映画を仕上げることが彼女の仕事だから。ゲリラ撮影とかって、それでできるかどうかもわかんないわけじゃん、俺との付き合いも初めてなワケだし、俺がどういうやり方をしてるかってのも知らないから。彼女は彼女で映画で育って来て、やっぱり自分の尺度があるし。自分がプロフェッショナルとして、自分の仕事を100%これでOKだって出せる中には、ゲリラ撮影ってのは入ってなかったんだ」

------自分の責任を持てる、コントロールできる範囲でやりたいと。で、ガッツンガッツン闘うことに?

●山本:「もうメチャクチャやったよ(笑)。最初、サンドイッチ買うシーン、実は別の所で撮ってたんだよ。『許可とるな』って言うのに許可取って。もうかなりお洒落なサンドイッチ・ショップで。そしたら案の定、店員は何やるかわかってるからリアクションもナチュラルじゃないし。俺がゲリラ撮影やってるのは、映画の中に急にドラマじゃないナチュラルなものを放り込みたいからでさ。それでラッキーなことにカメラマンが絵に凝っちゃって、鏡の絵を撮っちゃってたの。そんなもん必要ねえのに、彼女だけ撮ってくれりゃあいいのに。絵も良くなかったからリテイクするって決めてたんだけど……」

------主役のエリが、すごいジャパニーズ・イングリッシュで卵サンドを注文して、『何? わかんない』とか言ってるところですよね。

●山本:
「そうそう。あれは、いったん撮り終わってカメラマンが『今のは絵が良くなかったから、もう一回やりたい』とか言うから、『違うっつうの。これはそういうのがテーマじゃないんだから、お前、撮りたきゃ撮っていいよ』と。俺もうやる気なくて頭からリテイクするって決めてたから。で、サラはOKだと思ってて。で、別日に移動する時、サラが別車輌だったの。その時にあのデリがあったんだよ。そこで俺が車停めさせて、サラがいねーからカメラ・クルー降ろして。それで店のコリアン(韓国朝鮮人)と交渉して、『日本のTVでーす』とか言って(笑)。そこに彼女だけ放り込んで『サンドイッチ買ってこい。5分だけもらったから』って。それがあのシーンなんだよ。それを見てサラがある程度信頼し始めたんだよ。他の所もいくつかやってみせればね。地下鉄のシーンとか。あの映画冒頭の、プラザホテル前にリムジンが登場するシーンなんてのもそう。ホテルは全然許可下りないし。あそこはハリウッドくらいしか許可出さないんだけど、あの時はもう全然チームワークOKだったね。あの辺からアメリカのスタッフも全然馴れてきた。全ての面で、俺とカメラマンのマイケル(・パールマン)とADのロジャーの3人チームで組んで、かなりやったなあ……」

------結構、昔から怖い撮影しますよね。『てなもんや』では飛田の遊郭とか新世界とか釜ヶ崎労働センター周辺とか、だあーっと撮ってるじゃないですか。あそこのドキュメンタリーな面白さったら……(観てない人は必見って強調しておこう。今や貴重な記録映像って面もあるのだ)。

●山本:「俺、ああいう絵が好きなんだよ。映画の中のどれが現実かわかんなくなっちゃうでしょ。ああいうバランスが好きなんだ。だから素人使うのもそういうこと。すごい自然だし。祐賀子の地か演技かわかんなくなるでしょ? ああいうサンドイッチ・デリのシーンとかちょこっと入ると違うじゃん? ああいうの大好きなんだよな」

------僕も好きなんです。個人的にはフリーマーケットのシーンがもうちょっと欲しかったんですが……。

●山本:「要らんよ、そんなの」

------もっと広がりを見せて欲しかったというか、生活感とかがもっとあったもいいなあと……。

●山本:「カメラマンに言えよ。ま、確かにちょっと絵が寄り過ぎ(笑)。カメラの癖なんだよ。とにかく『引け引け』って言ったんだけどさ。モニターがあるとこじゃだいぶ引かせたんだけど、ハンディだとモニター付けらんないからさ。それは正しい(笑)。せっかくサウスブロンクス撮ってるのに……」

------それはどの辺りですか?

●山本:「あの露天で、マリークの娘の彼氏のベーシストが、『今日はバイトでいけない』とか言ってるシーンがそうなんだけど……」

------ハーレムとかイーストヴィレッジとかの街の風景、クラブシーンとかはもっともっと見たくなりますね。クラブのバンド演奏シーンはたっぷりあって面白かったですが、もっと客の顔とか見たくなるっていうか……。

●山本:「違うんだよ。あのハーレムのジャズ・バーって、NYに住んでる頃によく行ってたクラブで、週2日しか開いてないイリーガルな店なんだけど、こう壁はずしたらスロットマシーンがあったりするような不思議な店で(笑)。ADにひたすら言ってたんだよ、『あそこの客層かなりキてるから、そういうエキストラ入れといてくれ』って。で、現場行ったら、みんなドレスアップしてやがんだよ(笑)。しかもパンプキンって店のミュージシャンも、何だか派手な民族衣装なんか着けちゃって。『なんだよコレは、なに始まんだよ?』みたいなノリで。頭痛くなっちゃって。今から普段通りにってワケにもいかなくて。本当はもっと面白いんだよ、アソコは。あんなもんじゃない。お爺ちゃんとお婆ちゃんいたでしょ? ああいうのが多くて、実にファンキーな感じなんで。で、仕方なくドレスアップしたエキストラはみんな後ろの方にいかせて……お前エラいなあ、深いなあツッコミが(苦笑)」

------いやいや(照れ)、メイキング映像を見てみたい気持ちになりますよね。作ってる過程の方が面白そう。

●山本:「それで、パンプキンはよく知ってたから『撮影させてくれ』って言っておいたんだけど。そしたらさ、同じ建物の2階をスパイク・リーが新作で使ったんだよ、ウチらが撮る前に。どうやら金をいっぱい払っちゃったらしくて。『ゼニくれ』って言い出して。で、サラと一緒に交渉したんだけどさ。『パンプキンよぉ、俺は金はないけどハートがあるんだ』って言ったら『金がねえとハートもとまっちまうぜ』とか抜かしやがって。俺は笑ってたんだけどサラは笑ってなかったな(笑)……。ま、そういう面白えヤツなんだけどさ。それでサラは、ブラックとスウェディッシュのハーフなんだけど、ああいうハーレムのイリーガルな場所は知らないんだろうなぁ、周り見て『ナイス、グレイト』とか嬉しがってて、『ここはどんなミュージシャンが来るの?』とか訊いたらパンプキンが『デイヴだ』とか言うの。『それは誰?』ってサラが訊けば『俺のダチだ、ガハハハ』みたいなやりとりで(笑)。なんか、そういうかなりファンキーな所なんだよ」

------そっか、とりあえず映画のプロデューサーって労働階級的にハイクラスになるから、かなりカルチャーショックなんじゃないスかね。

●山本:「まあなあ。サラはかなりスウェディッシュの血が強いんだろうな、厳格だしなあ。ま、その厳格すぎるのが良かったと思うけど。衝突は凄くあったな、しょっちゅう喧嘩してたよ」

------マリーク役のT.M.スティーブンスですが、HP読むと、オーディションで日本の高校の制服着て現れたとか書いてましたが……。

●山本:「奥さんが日本人で徳島出身なんだよ。ファッション・デザイナーやってて。それで徳島高校の制服をラスタカラーにしたのを着てたんだ」

------主人公のエリに、フリマとかあえて中古CD屋とか庶民的な場所に行かせるのは、やはり監督の趣味、考えなんですか?

●山本:
「そうそう、ロケハンしててここがいいな、とか。NY行ってブランド・ショップに行ってもなあ。そこまで付き合いきれないから」

------リムジンをレンタルして、フリマにいくっていう設定の面白さですよね……やっぱフリマのシーン、大事ですよ、もっと……ま、いいか。

●山本:「うるせーなーホントに。吊すぞ、この野郎、実験しちゃうぞ、一週間人間吊すとどうなるかって(笑)」

------いちおー、ぴあのインタヴューで“山本政志はいい人だキャンペーン中”だと読んだんで、うっかり僕、怖いもの知らずな無茶苦茶言ってますね。

●山本:「あ、そうだそうだ、今の嘘です、冗談ですよ、アハハハーなんつって(苦笑)」

■■ニューヨークの“馬鹿さ加減”への山本監督らしいこだわり■■

------NYにはずっと興味があった? 『てなもんや』のラストで、NYソープランド化計画みたいな夢のイラストが出てきたり、『アトランタ・ブギ』でも町内運動会にバッタモンの自由の女神がドーンと立ってたりするじゃないですか。

●山本:「もともと行くつもりだったんだよ。『熊楠KUMAGUSU』で引っかかっちゃったけど、あの後でNY行く予定だったんだよ。NYで撮ろうと思ってたのに、あそこで俺の人生設計が狂っちゃったから(笑)」

------『てなもんやコネクション』の時から?

●山本:「『ロビンソン』の時からあったんだよ。『ロビンソン』でドイツ行って、そこからイギリス行ってNYに渡って。『ロビンソン』の売り込みをやってたんだよ。英語全然できなかったんだけど、滅茶苦茶な英語で電話してアポとって(笑)。サミュエル・ゴールドウィンの所とか。その頃は滅茶苦茶パンクだったから、ズボンはビリビリに破れてるし革ジャンは汚えし。それで友達が、日本人の俺の英語じゃちょっと厳しいからって、そいつに頼んだんだけど、そいつワシントンD.C.の黒人のハイスクール出たやつだから、白人と久々に会ったらしくって『ナイス・トゥ・ミーチュー』とか言われて『ウエエエ』ってな顔して。ホント困ったなあって顔で(笑)。二人で五番街のサミュエル・ゴールドウィンのビル入ってって、笑ってたんだけど。ただ、その時にNYって笑えるなって思ったんだよ、そういうアポイント取ってて……今はもうちょっとね、フォーマルになっちゃったけど」

------80年代後半のNYって、凄い怖かったんじゃないですか?

●山本:「いやあ面白かったよ、イーストヴィレッジは。ビルも壊れてるしさあ。もう人種ゴッタ煮だったし、イリーガルなバーもいっぱいあったし、公園じゃ炊き出しやってるし。アンパンやってる馬鹿がいて、『NYでアンパンかよっ』て感じで(笑)。『ここまでキテるか馬鹿さ加減が』と。ハーレムの夜中もさ。なんつーんだろな、温泉のフロアショウみたいなライブなんだよ。客も黒人独特のコッテリしたファッションで。何かこう『カッコイイなあ』って思って、『ここ撮りてぇなあっ』と、その時思ったんだよ」

------怖くないんですか? 『てなもんや』の釜ヶ崎とか香港の下町もですけど、ちょっと怖くて行けないですよ、普通は。

●山本:「怖いッつーのは無いな、全然。楽しいよ、あそこ。だいたい怖いって言われてる所は楽しいところが多いんだよ。浮浪者のおっさんを殺すシーン撮ったとこは、ブルックリンでも指折りの危険な場所らしくって、お巡りがずっとつきっきりで。超アブネー所は警察がついて来るんだよ、何かあるとアレだっつーて。そういう決まりになってんだよ。重火器使うし。……まあ、あれだな、庶民的なところが怖いって言われるんだろうなあ。サウスブロンクスも危険だって言うけどさ。すごい庶民的だよ。だからワザと意図的に風景を普通の風景として撮ってるんだよ、今までって、サウスブロンクスっていうと、クールで、デインジャラスでって感じで撮るでしょ? もっと生活感のある普通の風景にしたかったんだよ、全体を。だって、そういうのって田舎者っぽいじゃん」

------はあ……でもロケハンとかで銃を突きつけられるとかなかったんですか?

●山本:「そりゃなかったけど。遊んでて、ニュージャージーの、これもイリーガルなクラブなんだけど、そこでちょっといい気持ちになってて(笑)。『さ、帰ろう』って友達と外に出たら、ロープいっぱい張ってる所があって、『コッチが近えや』と思ってバッと乗り越えようとしたら、ライトがバカバカバカバカッてついて『フリーズ!』って言われて……。なんか銃撃戦が始まるってんで、そのロープで取り囲んでたらしいんだよ。そん時はぶっ飛んでたから『アララ、明るいわね』ってな感じだったんだけど(笑)、後で『こりゃあ危なかったな』って思ったけどね。あとハーレムの別のクラブ、ここもイリーガルの、俺イリーガル専門だから(笑)、そこで黒人の友達とよく行ってたんだけど、もうみんな友達だったから。イエローって俺一人なんだけど、一回行ったらもう『ヘイ!マサ』って感じで友達になるんだよ。で帰ろうかって店出たら、入れ替わりに警官がドドドドって入ってって。一斉検挙だったんだけど、出口ですれ違い。間一髪で助かったんだよ。ツいてるんだな」

------そういやナオ役の鬼丸さんって、向こうで撮影終わってから捕まったとか。何やったんですか?

●山本:
「知らねーよ。あのバカ。打ち上げン時に、いねーから『どうしたんだ?』つったら『今日パクられましたよ』って。『なんだよそれ』ってスタッフに調べさせたらホントに留置場入ってるんだから。ほっとけあのバカ。何かのイッセイ(一斉検挙)やられちゃったんだよ、たぶん」

------そ、それは引き取りにいかなくちゃいけないんでしょ?

●山本:「俺なんかできねーもん、ウチの関係のヤツが行ったよ。だから2日くらいしか入ってねーよ。それで今度、帰りにも喧嘩するしさ。その日の朝に日本に帰るって時に、朝3時ぐらいに手を血だらけにして来て、『ハンパじゃないッスよ。もう一回行ってきます』とか言うから『いい加減にしろコラァ』って説教して。説教してる自分が嫌になっちゃって。ヤじゃん、ヒトに説教するのって。おめえが言えた義理かっつーの、なあ。その時は『何で俺ヒトに説教してんだろ?』って思いながらも『説教しないと拙い』っていう、この重圧(笑)。メンドクセーじゃん、だって。これでパクられたら今度は帰れなくなるから、明らかに。そんなにアメリカも甘くないからねえ」

------(甘い甘くないの問題じゃない気が……。あ、山本政志監督自身の若い頃の痛快な武勇伝については「リトルモア」春号を参照のこと)じゃあ映画でナオがいきなり路上で通行人を殴りつけるシーンって、まんまマジでリアルなシチュエーションなんですね?

●山本:「撮影はそりゃ嘘だけど、まあ、オニ(鬼丸)は喧嘩好きだからねえ。自分から喧嘩売ってるよ、人種関係なく」

------……(絶句)参りました。

●山本:「まあでも、オニ(鬼丸)もなかなかの役者になったしな、今は。だから面白いよ、みんな。ウチに出てるヤツは。それを外側からヘンに見るだけで、とにかく人間って面白いモン。普通ってさ、何が普通かわかんないんだよね、どこが普通でなにがアレだか……。もう普通の人の方がおかしかったりするもんね。鬼丸はやっぱレッサーパンダの帽子、かぶんないと思うよ(笑)、そういうノリはないと思うな。やるときゃ、ちゃんとわかりやすく殴ると思うし」

------(笑)。でも今って親が子を殺したり子が親殺したりってニュース、毎日のようにやってるじゃないですか。わりと普通の家庭内暴力で、簡単に人殺したりしてるのを思うと……。

●山本:「ありゃね、9割はセックスだと思うよ」

------へ?

●山本:「ありゃ全員ソープとか連れていったら、ずいぶん犯罪がなくなると思うよ。中学からみんなソープ行かせるべきだよ。中学後半になったらそういう教育セクションがあって、『じゃあ今日ソープ行く者は?』なんて先生が引率して。『はい1番の人、写真で指名できますよ』『えーと……』『先生はどれにしようかな?』みたいな(笑)。そうすりゃ学校も和気あいあいになると思うんだよね。男ってそういうの多いじゃん、何か性エネルギーみたいなのが鬱屈してるの。で、それがスポーツに走ったりして解消されたりしてね。みんなやりゃいいんだよ。そんな感じだと思うな、俺は。なんでか、そういうの言わないよね、みんな。社会背景がどうのとかさ……。セックスの問題ってすごい大きいと思うんだよな。溜まってるだけだろう?」

------……なるほど(敢えてコメントを控える)。

■■『熊楠KUMAGUSU』への想い■■

------日本映画ってタランティーノ以降かな、どんどん暴力描写の格好良さに凝りだしたような気配があるんじゃないですか、90年代って。北野武だとかをはじめとして。でも、そんなのより現実の方がエグイじゃんって思える最近の状況の中で、じゃあバイオレンス描写ってのを、映像表現としてどうやってきちんと特化して見せていくのか?っていうのが凄く気になってて。そこで監督の映画をずっと見直してて思ったんですけど、80年代の『闇のカーニバル』や『ロビンソンの庭』、『てなもんやコネクション』の“抜け方”っていうのは、もっとハンパじゃなく当たり前の風景として暴力もモチロンあって、でもそれどころじゃない所まで割と平気でスッと行く感じがあったと思うんです。そういう突き抜け方を観てきた者からすると、ここ最近の3作って、こじんまりした感があって……。

●山本:「だからこじんまりさせてんだって!」

------もったいない気が……。

●山本:「もったいなくないよ! だからそういう観客のわがままはどうでもいいんだよ、知ったこっちゃないよ、もう。そういうもんは『熊楠KUMAGUSU』で出すから。自分のエネルギーってのは、1本停まった時に、他のに全力投球できないよ。今までは一本一本終わってきたから、じゃあ次で何割出そうとかやってこれたけど、『熊楠KUMAGUSU』は大きいからなあ、自分にとって。ずうっとここ10年、『熊楠KUMAGUSU』以外はほとんどオマケだよ。で、その力を抜いた中の良さを出そうとやってるから、それは俺、成功してると思うよ。『アトランタ』はちょっと違うけど、『JUNK』にしても日記風のスケッチみたいな映画を撮りたかったし、今回はちゃんと普通のエンターテインメント風の映画を撮りたかったから。まとまった映画、オチがある映画をね」

------前作『JUNKFOOD』って、最初と最後に、中身のいくつかのエピソードを挟み込むカタチで、盲目のお婆さんの朝の日常風景、みたいなドキュメンタリー風のシーンが、枠としてあって。あの映像の持つ緊張感とか、それと本編との関係なさ加減の面白さは、山本監督らしい“らしさ”だと、観客の勝手な思い込みかも知れないけれど、つい思ってしまうんですが……。

●山本:「まあ違うこともやりたいでしょう、そりゃあ。観客のために生きてねえからなあ。お前のために生きてるんだったらお前と結婚するよ、そんでセックスしまくるよ、お前と。そりゃあ違うだろ……」

------……はい。いや、とにかく『熊楠KUMAGUSU』は観たいッス。そういえば維新派(関西が世界に誇る劇団、町田町蔵=康さんも出てた)の看板女優というか、独特のキャラで劇団のカラーをつくった感もあった野田貴子さんが、『てなもんや』に出てましたけど、この『KUMAGUSU』にも出るってので劇団をやめたと、当時聞いたんですが……。

●山本:「違うよ、それで辞めたんじゃねえよ。結婚したからだよ。医者と結婚したんだよ。その後だよ、維新派辞めたのは。もうお前達ゃそうやって嘘ばっかり書くんだから」

------あっそうなんですか。いや噂で聞いた話なんで。

●山本:「お前もマスコミの悪いビョーキに罹っちゃダメだよ、いい加減なんだから。もう。セックスするか、お前(笑)」

------だから、それは鳳さんとやってくださいってば、劇団・新感線の看板女優だった鳳ルミさんと(注:新感線も関西が世界に誇る劇団のひとつ。鳳ルミさんは山本監督の奥様である、念のため。『アトランタ・ブギ』でも新感線の古田新太が演じる女性下着会社社長の秘書役でコメディエンヌばりの好演を見せている)。

●山本:「ヌハハハ(苦笑)」

------そうそう、『てなもんや』の飛田遊郭の場面で、遊郭の麗しきお姉さん役で出てた鳳ルミさんが、フォトジェニックな止め絵になるシーンには、思わず大笑わせていただきました。

●山本:「おう。ありゃカメラマンにも大ウケしたけどね。『監督、ここまでやるんならスーパー入れますか、<結婚しました>とか』って言われた」

------(笑)……そっか。じゃあ『熊楠KUMAGUSU』には野田さんは出ないんだ。

●山本:「ああ、もう出ないっしょ」

------町田町蔵さんは? 噂の真相6月号によると、諏訪監督の新作『H STORY』で、広島ロケでは大喧嘩してた様子ですけど……(あ、しまった、奥様は出るのか聞き忘れた)。

●山本:「そりゃ喧嘩もするだろう。大丈夫だよ、俺と喧嘩したわけじゃないから。お前ホントにヤなマスコミ病だな。滝に打たれろ、滝に。これから拉致監禁してやろうかな? 拉致だ拉致だ」

------いやいや(と、簀巻きにされコンクリ流し込まれながらも健気に)、広告批評5月号のインタヴューによりますと、『熊楠KUMAGUSU』のスケジュールとしては『8月に脚本締め切りで』とありますが、決まってる日程はそこまで?

●山本:「今、脚本家は仙頭(武則)プロデューサーと契約して、4月から動いてる」

------もう大期待してますので、いつ観られるかを、もう少し具体的に知りたいんですが……。

●山本:「大きなお世話だよ、ったく(苦笑)。まあ来年中には上がるでしょう。仙頭に聞けよ、俺、プロデューサーじゃねえから。俺としては時間、急ぎたくはないから、最初に一切の納期を決めるのやめようよって話から始まってるからさ。10年掛かってんだから、ここからの1、2年ドタバタしたくねぇしな。ただ脚本に関しては井土紀州(『百年の絶唱』『レフト・アローン(仮題)』監督)が書いてるんだけど、無制限に拘束するわけにゃあいかんからな。あいつも生活があるし、俺は別にどうでもいいんだけど(笑)。ま一応、井土も大変だし」

------どんな感じになるとか?

●山本:「大河ドラマになる」(きっぱり)

------イメージ的には『ロビンソンの庭』の延長のような?

●山本:「いや、今までの総集編のようになるよ。全てが入る。久々に美学的な要素も入るし、映像的な。『てなもんや』みたいなグチャグチャなのも入れるし。いろいろやりたい」

------ははあ。あ、『ロビンソンの庭』の、あの都会の真ん中の緑の巨大な廃屋ってどこなんですか?

●山本:「ありゃ、あっちこっち、都内5、6ッ箇所。初台のオペラ・センターになっちゃった所と、目黒の林産試験場とか、平塚とか、立川の基地とか、代々木とか。自転車で延々走るシーンは五反田だな」

------あの緑のイメージが強烈にあって……。

●山本:「『熊楠KUMAGUSU』の緑は『ロビンソン』の緑とはまたかなり違うよ。あれは都市の緑だからちょっとポップアート的なグリーンの色調にしてるの。今回の熊野のは、もっと剥き出しのグリーンにしてるから、かなり原始的な力を感じると思うよ、ちょこっと観る? パイロット版あるよ、サンプルが」

------えええっ、いいんですか?

●山本:「えーと(ゴソゴソ)……あ、ここらへんのAVは俺の趣味じゃねえからな、林のだから」

------(笑)……ああ、「DUNE」編集長の林文浩さん。この事務所は共同でシェアしてるんですね。「リトルモア」春号の、林さんが書いた山本監督インタヴュー(「真説外道伝---第三回・聖人 山本政志」)はメチャ面白かったっス(言うまでもないが必読である)。

●山本:「ありゃ林本人が面白いんだよ。最近、林とテンション競争やって負けるからなあ(苦笑)」

■■ヒスグラと『リムジンドライブ』と『熊楠KUMAKUSU』と「DUNE」の不思議なつながり■■

------ちなみに。今回、衣装協力と製作で入ってるブランド、ヒステリックグラマーとの付き合いっていうのは?

●山本:「あのね。『熊楠KUMAGUSU』を再開させなければって時に、オゾン・コミュニティの山口さんって専務がいるんだけど、その人と知り合って。その人南方熊楠が好きで、オゾンってのはヒスグラの親会社なんだよ。そこで熊楠の話で盛り上がって。で、しばらくして山口さんから電話があって、『山本君、熊楠のTシャツ作ったから』って言うから『あ、いいよ、やってやって』と。それからまたしばらくして電話があって、『あのねー山本君、売上金ね、口座に振り込んどいたから使って』と……そういう関係。そんで今回、『リムジンドライブ』作ろうって時に、最初は山口さんの所にいったんだけど、やっぱ『熊楠KUMAGUSU』でつき合いたいから、『出す』って言ってくれてたんだけど『やっぱいいわ、ヒスグラ行ってみるわ、ヒスグラの方が今回合いそうだから』つって、ヒスグラの北村(信彦)さんトコに行ったんだよ。で、北村氏と林とは凄く付き合いがあるから。で、俺が今度、山口さんを林に紹介するって感じでさ。林は今度、山口さんとマダガスカルに行くっていう……よくわかんないつながりなんだよな」

■■『熊楠KUMAGUSU』パイロット版を観つつ……■■

※と、ここでビデオに落とした『熊楠KUMAGUSU』パイロット版を見せていただく。すげええええ! 熊野の森の空撮。ずうっと続く那智の森の中の渓流沿い。町田町蔵(町田康)扮する熊楠が植物採集してる。鼻歌。大自然の中で、わけわからん歌が……。「こりゃ珍しい、紀州シダや」「はい……」「なんや日本語しゃべるんかい。てっきりフランス語しゃべんのか思うた。まそういう時はエスペラント語で殴ったろ思とったけど」とかニヤニヤしちゃう会話があって、嶮しい自然の中のとぼけた、あるいは美しいシーンが続く……。

------……はじめての字幕無し作品に?

●山本:「いや入るよ。いろいろと」

------こんな山奥の描写、どうやって撮るんですか?

●山本:「クレーン入れたからな。土台工事とかしたんだよ……ああ、ここ、何カ国語かしゃべってる。……でもまあ、緑がほとんど主役だからさ。大変だよ、撮影全然進まないんだもん……。(田にそよぐ風の描写、標本箱や古書だらけの旧日本家屋。その緻密なリアリティ)……音楽は近藤(等則)さんだから、これは仮のだけど」

------すげえ。さっきの渓流あたりの激しい雨は本物の雨ですよね?

●山本:「あれ降らしたんだよ」

------ええ?

●山本:「えらい降らしたんだよ。……(雄大な光景などが続く)……レール16本引いたからなあ……」

------これは4億5千万円かかるわ……(すでに撮影した分だけでそれだけかかってるとのこと。広告批評5月号のインタヴューによると、それでも「使えるところは正味20分くらいかな」という……)。

●山本:「これはラストシーン……死んじゃったところ。オプチカル(処理)のマーキングがついてるけど。蝶は3千匹使って。これは熊楠の粘菌……(微細な顕微鏡映像によるイマジナブルな生命描写)……ま、こんな感じ、面白いでしょ?」

------すごいです! よけい早く観たい!ですね。

●山本:「こういうの引っかかってるとね、全力投球しないのよ。無理。エネルギー使うからな、『熊楠KUMAGUSU』は。でも、ここ3本、軽い路線でなかなか俺としちゃ、好きだけどね。『JUNK』なんか、すごい終わった後も体力残ってるモン。それまではヘトヘトだったんだけどな」

■■好きな映画の話、ジャンルを超える自由さについて■■

------自作で一番好きなのは?

●山本:「『闇』。そんで『てなもんや』。あと『JUNK』、『リムジン』、『ロビンソン』、で『アトランタ』かな」

------『マンダラ・オーバードライブ』ってのは?

●山本:「あれは撮り終わってプロデューサーと喧嘩して降りたんだよ」

------完全オクラなんですか

●山本:「いや、なんかタイトル変えて追加撮影して、話も全然違う映画にして日本でもやったらしいよ。『愛と哀しみのアカ族』とかなんとかいったっけ」

------知らないッスね。

●山本:「最近そのプロデューサーがある作品で大儲けしやがって。悪い奴はいつまでも残るねぇ(笑)」

------最近、映画見てます?

●山本:「いや、全然観てねーや。最後に観たのは『ダンサー・イン・ザ・ダーク』。あれ以降みてない。案外好きだよ、カメラが好きなんだよ、ロビー・ミューラーの。『奇跡の海』もよかった。あのコンビの時はいいよな。カメラがすごい好き。図式的な内容だけど、あそこまで図式的だと、んなアホなってどっか突っ込みたくなるじゃん。でも狂気の演出とかすごい力あるよね。なあ、鳥肌立つような巧さ、やっぱ力があるよね。前作の『奇跡の海』も好きなんだよ。あんだけハンディのセンスあるカメラマンって、いないよな。あの監督と組んだ時のロビー・ミューラーってピカイチだよな、俺の嫌いな『ベルリン天使の詩』のヴィム・ヴェンダース監督と組んだ時よりずっといい。昔のヴェンダースは好きなんだけどな……。あ、日本映画は結構観てるな、そういや」

------ジム・ジャームッシュとかは?

●山本:「ああ観てねえんだよなー、あの黒人がサムライのやつ、『ゴースト・ドッグ』とかだろ」

------(注:撮影監督のロビー・ミュラーは、ヴェンダース『都会のアリス』『アメリカの友人』など70年代にずうっとコンビを組んでて、『パリ、テキサス』、『夢の涯までも』もそう。ジム・ジャームッシュとは『ダウン・バイ・ロー』『ミステリー・トレイン』『コーヒー&シガレット2』『デッド・マン』『ゴースト・ドッグ』で組んでいる。ラース・フォン・トリアーとは『奇跡の海』『ダンサー・インザ・ダーク』を担当)そうです。いや、『リムジンドライブ』の感覚って、ジャームッシュっぽいところもあるというか、山本監督のセンスに近いような……。

●山本:「俺はもっとエンターティンメントだよ。お前みたいな頭の固い観客をどうやっておちょくるか?ってやってるんだから。もうちょっとみんな感覚を開きゃいいのにな、もう、すぐアート志向アート志向、になっちゃってて」

------いやいやいや。もっとハチャメチャじゃないですか、山本監督の資質って、本来。

●山本:「あえてまとめてるって言ってんじゃねえか、ウルセーなぁ。オメーの中の幻影で言われても困るよなー、迷惑だな。訴えるぞ、ふんとにもう。裁判だ裁判(笑)」

------(あえて無謀に)じゃあ、山本監督って、どっちかっていうと「バースト」系なんですかね?(若者タトゥー系マガジン「バースト」6月号にも山本監督とパンタの対談が載っているのだ)

●山本:「知らねーよ、そんな何系とかいうレッテルからバイバイしたいんだよな」

------いや、作風が一筋縄ではいかない捉え所の無さがあって、書く方からすると監督の場合、難しいんですよ、キャッチフレーズ的にうまく語るのが……(ムクチャクチャに繊細、かと思えば馬鹿馬鹿しくザックバランでもある不思議な映画なのだ、山本監督の映画は)。

●山本:「だから、そう言う風に囲ってくのがイージー過ぎるって言ってるんだよ。書かなきゃいいんだよ。だから、むしろオマエは脳が常識に縛られてるからさ、別の角度で、観方変えるといいかもしんないよ。それは、何回も言うけど、俺と結婚したらわかるけど(……)。ああ、俺はどっちかって言うとNHK派かな。『世界遺産を訪ねて』とか『明るい農村』とか(笑)」

------(あえて突っ込まずに受けて)そういえばドキュメンタリーやって欲しいってのもありますね。メッチャ面白いドキュメンタリー映画を撮りそうな気がする。

●山本:「余計なお世話だっちゅーの。……でも、やってみたいよな」

------そういう鮮烈なドキュメンタリー要素や、他にもいろんなのがゴッチャになってるのが、監督の映画の面白さなんだと思うんです。

●山本:「うん、あんまり作品主義でやりたくないんだよ。もうちょっと自分が動いてゆく過程が、もっと映画に密着してあればいいんだよ。作品のために図書館通うタイプじゃ絶対ないし。自分にこういう環境があるからこうやっていこうって。自分がこう思うから、こう環境を変えていこうとか……。生活の中である映画なんだよ。次回は仙頭と組むから、ちょっと作品主義的になっちゃうけど。けど、もうちょっと映画が映画っつーカテゴリーの中じゃないものをやりたい。お客さんは映画をフィルムの中の作品として、作品の中のこととして語ればいいと思ってるけど、自分に戻して、自分で映画を考える時に、作品云々だけじゃなくて、その時何やってたかとかさ、こういうことがあったからこの作品が生まれたなっていうのが大事なの。まあ『熊楠KUMAGUSU』に関しては、もう10年かけてるから充分あり過ぎるくらい、過程もヘッタクレも全てあるからなあ……。その間の作品もそれぞれ何かがあってそうなったから。そういうプロセスみたいなものも含めて作るっていうところに、俺のロマンがあるね。今回のロマンは、やっぱり単独でNYに行くってことだよな。単独で行ってアメリカで、あんだけのチーム作ってやってく面白さなんだ。それが作品にどんだけ反映されるかっていう。だから、映画ってそれだけ自由にできるっていうことだよな、本当は」

------それができる山本監督は、凄いと思います。

■■ヨーロッパ映画祭を有り難がる風潮はファック・オフだ!■■

●山本:「もっとできると思うんだよ、みんな。いっつも思うよな、いつまでたっても映画のスクリーンの中だけで解決しててさ。だって、最近よく思うのは、ヨーロッパ映画祭かぶれっての? 俺なんかもう20年近く前から映画祭行ってたじゃん。……仙頭も本当はヤなんじゃねぇか、今は。ただあいつはプロデューサーだから、ビジネスの側面で仕方なくってのもあるんだろ。そうゆんじゃなくて、いまだにヨーロッパの物差しを大切そうに風呂敷に包んで持って帰って、みんなが『その物差し貸してください』っつって、カンヌで評価されましただの……。もう次だと思うんだよ。その次だと思うんだよ。国際映画祭ってのがそんなにいいものなの?って思う。カンヌで蝶ネクタイしてタキシード着ること自体がアホらしいって思うような感性ってねーのかなぁ? 俺が行った時は、下がジャージで雪駄履いて、ジンベエの上ひっかけて行ってさ、ブーイング起こったからなあ(笑)。そういうヤツいねえのかなあ。あそこでみんな飼い慣らされちゃってさ。ゴダールは今回、私服で行ったらしいね。カンヌに批判的なコメントを出したつってたな。ゴダールと話が合うとは思わなかったけど(笑)。そういうヤツ出てきてもいいんじゃねーのか。タキシード着て赤い絨毯歩くのを馬鹿にするヤツいねーのかな? 音楽だって昔はパンクがいっぱいいたし、今もヒップホップとかやってんじゃん。この前MTVアワードでエミネムが賞を獲ってたけど、アイツ態度悪いじゃん、自然に、取り返しのつかないくらい自然にさ。どうしょうもなく態度が悪いって気持ちいいじゃん(笑)。なんで映画だと、それこそギャング映画撮ってるヤツがタキシード着てちゃってさあ。馬鹿じゃねーか、お前の性根は腐ってるゾって思うよ。なんで馬鹿っつー事を意志表示できねえのかな? みんながそうなれってんじゃないよ、そういうヤツが少しはいていいと思うんだけど……」

------ヘンに文化になってるんですよね。

●山本:「馬鹿だよな。なんか馬鹿の数が多い」

------馬鹿好きって言ってる癖に(またも無謀なツッコミ。『てなもんや』のキャッチフレーズは「アホは国境を越える」だったのだ)

●山本:「そりゃアホと馬鹿が違うのはわかるでしょ? ニュアンスの違いは、いくらなんでもわかるよな(凄む)」

------真っ当な馬鹿は生き辛い世の中なんですよ。

●山本:「だからちょっと生半可な知性を香らせてるつもりの人たちにどうしょうもないのが多いよな。だって、そういう頭があるなら動きゃいいのに、動きゃしねえし。お前らは中沢新一か!って(笑)」

------ダメすか。中沢新一は。

●山本:「アイツは似非インテリだよ」

------口八丁の詐欺師としては一流でしょ。それも極めれば才能ですよ。

●山本:「それは同感」

------彼は熊楠つながりでは? 彼の南方熊楠論の『森のバロック』とかは凄い逸品ですよ。

●山本:「つき合ったからわかるんじゃねーか。あの、危機が来るとどっかいなくなって、危機がちょっと去ったら『山本君、今度はがんばろうね』とか。なんだコイツはって思うよ」

------(笑)ま、それもしたたかな才能っていうか。

●山本:「ああでも、俺『熊楠KUMAKUSU』はカンヌでグランプリ目指してるんだよ(笑)。獲ってその場でオークションにかけてやる(笑)って思ってる。これも俺のロマンなんだよ。『闇のカーニバル』でカンヌ行った時から思ってんだよ。このクソ映画祭で絶対グランプリ獲るしかないって。あれ持って誰かの頭叩き割って暴力事件で訴えられるとかさ(笑)……。『闇のカーニバル』で行った時はパンクスとツルんでたじゃん? それでベルリンでは文化大臣とかのパーティにみんなで行って、取り囲んで写真撮ったりしたもんな、俺。『ロビンソン』の時はホテルから出入り禁止にされるしな。それ以降、日本人出入り禁止になっちゃった(笑)。俺とカウリスマキが一番悪名が高かったなあ。アキ・カウリスマキはアル中だから。ま、ベルリンはいい映画祭だったけどな……。でも賞は撮らなきゃな、賞だよ賞(笑)。仙頭に賞獲りのワイロ預金とかしてもらってね」

------蓮實重彦(東大学長)が、『俺に言えば賞なんかいつでも獲らせてやる』って言ってたらしいっスけど。

●山本:「蓮實さんはロカルノ(国際映画祭)の時、通訳してくれたからね。でも会話は全然成り立たなかったな(笑)。『ここは緯度が高いですから、あ、ほら人工衛星が見えるんですよ……』(と間延びした、もとい高貴な蓮實さんの口真似をする)ってな調子だから、俺は『あっそーすか!』……ってな会話を繰り返してたんだけど。プレスのインタヴューとか全部、蓮實さんが通訳してくれたんだけど、記者が『カメラマンはどうでしたか?』って訊くから『カメラマンとはセックスしてないのでよくわかりません』って答えてちゃんと訳してくれるかなと(笑)。プレス連中が笑ってたから『ああインテリも、ちゃんと訳してくれるんだな』って思ったり(『ロビンソンの庭』の撮影監督は、ジャームッシュ『ストレンジャー・ザン・パラダイス』などのトム・ディシーロ)。……でもみんな権威にしがみつくよなぁ。今じゃもう(映画批評家の)“ハスミ病”も治ってるんでしょ? 次は“映画祭病”がしばらく続いてるけどさ……。だからやっぱ、ずっと言ってるのは、ジャーナリズムはアタマおかしいよ、狂ってるよってこと。自分の目でモノを見る判断がまるっきりできてないから。映画監督なんて、もうずっと先に行っちゃってるじゃん。だってホウ・シャオシエン(侯孝賢)と俺がつき合い始めた時も、ベルリンで俺がどれだけ凄い映画があるってマスコミに言いまくってたか。でも『観てもわかんねえ』って言いやがって。で、後になってからホウがいいって言い出したでしょ。最近だと『バッドムービー』って映画の、韓国のチャン・ソヌ。これもすごいって言ってたのに。今、『LIES 嘘』で来てるでしょ。ああいう面白い映画をちゃんと観ろよって。映画のキャパシティーの広さを、もっとわかってないとさ……。去年だったかな、新藤風の映画(『LOVE/JUICE』)を観て、映画も、本人も人間的にも面白いし、『いいじゃん、俺がプロデュースしよっか?』とか言ってて。で、今度賞獲ったら(第51回ベルリン国際映画祭・新人作品賞)、急に『新藤風がいい』ってわぁっと言い出すし。もう明らかに血迷ってるよ。てめぇらの目はどこについてんだ。俺、九州人だから、ああいうシャキっとしてない態度って許せないんだな。ファンキーじゃねーじゃん、恥を知らねえって言うか。自分らでまず評価して、それからヨーロッパに『ほらな』ってんならいいんだけど、いっつもヨーロッパに尻尾振ってさ。皆殺しだよ皆殺し、みんな拉致監禁だよ拉致監禁、収容所作った方がいいよ……」

------いい人キャンペーン、いい人キャンペーン……。

●山本:「あ、そうそう、いいや、そういうことは。みな友達なんだから、争いあっちゃいけないよ、どんなに悪い人にもいいところはあるさ」(笑)


取材DATE:5/25(金)14:00-15:10. at レイライン・オフィス(兼DUNE編集部)
テキスト:梶浦秀麿

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