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のどかな田園風景が広がるアメリカのとある公道を、一台の自動車が走っている。乗ってるのは大学生のトリッシュ(ジーナ・フィリップス)とダリー(ジャスティン・ロング)の姉弟。春休みに故郷に帰省する途中のようだ。行き交う車もほとんどなく、たまに出会う車のナンバープレートで語呂合わせごっこしたり、姉の元カレ(?)の件で口喧嘩したりして退屈を凌いでいる。と、突然現れたボロボロのトラックが二人の車に急接近してクラクションを鳴らす。慌てる姉妹はなんとか追い抜かせてから悪態をつく。そのシリアル・キラーが乗りそうなトラックのナンバープレートは「BEAT1NGU」----「殴るぞ」と読めた。トリッシュは「ケニーとダーラ」という都市伝説を思い出す。78年のウィートン高のカップルがドライブ中に行方不明になり、車と女の首なし死体だけが見つかったとかいうヤツだ。このあたりは23年ごとに23日間、大量の行方不明者が出るという……。やがて通りがかった廃屋で、さっきのトラックが止まっていて、黒ずくめの大男が廃屋脇のパイプに死体袋のようなものを落としているのを目撃してしまう。気づかれた! 猛スピードで追ってくるトラック! 警察に通報しようにも携帯電話はバッテリー切れだ。思わず道端に突っ込んで逃げると、トラックはそのまま行ってしまった。ダリーは嫌がる姉を説得して廃屋に戻る。もしかしたら袋の中の人間は生きているかもしれない、と。廃屋は教会だったらしく、先程のパイプはその地下室に繋がってるようだ。そこでダリーは恐ろしいものを発見する!
いやあ面白い。出だしは『激突!』『ロード・キラー』の系譜にある「不気味な大型トラックに追っかけられる」系パニックもの。懐かしき導入部に「ははーん」とか油断してたら、猟奇殺人もののサイコ・ホラーになって、だんだんヘンテコなバイオレンス・タッチがエスカレート。途中から話が「怖くて笑える」クリーチャー系パニック・アクションになってゆく。凄え! 強烈なキャラクターで爆笑させる猫ババア(アメリカの田舎にいかにもいそうな独り暮らしの頑固婆さんだ)、あるいは虚言癖だと警察に相手にされない黒人霊能オバハンなどが登場して、姉弟と謎の大男との闘いを盛り上げる。ついには田舎の警察署内での密室パニック・アクション(マジック・ミラーの取調室を利用したギミックあり)に発展して……『フロム・ダスク・ティル・ドーン』第一作もどきのあっけないオチに「終わってへんやんけ!」的ツッコミを入れる愉しみも含めて、B級娯楽ホラーの魅力を遺憾なく発揮しているのだった。さっそく続編も作られてるってのが、また「らしく」ていい。 |