[容疑者] CITY BY THE SEA
2002年10月12日より日比谷映画ほか全国東宝洋画系にてロードショー

監督:マイケル・ケイトン・ジョーンズ/原案:マイク・マッカラリー/製作:マシュー・ベアー/出演:ロバート・デ・ニーロ、フランシス・マクドーマンド、ジェームズ・フランコほか
(2002年/アメリカ/108分/配給:ギャガ・ヒューマックス共同配給)

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【STORY】
仕事一筋のニューヨーク市警の敏腕刑事ビンセント・マラーカ(ロバート・デ・ニーロ)は、ある殺人事件の捜査中に、幼いころに別れた息子のジョーイ(ジェームズ・フランコ)が第一容疑者であると知らされる。真実を知るためにも、なんとかしてジョーイを無事に保護したいビンセントだが、事件の担当を外されてしまう。故郷ロングアイランドで単独捜査を進めるうちに、恋人にも打ち明けられない消したい過去---かつて父親が殺人犯として処刑されたこと---が明るみに出る。「殺人者の血は遺伝するのか?」とマスコミに騒ぎ立てられ、やがてビンセントもメディアから追い込まれることに…。息子のために自分が今すべきことは何か? 自らの命を危険にさらしながら真実に近付いていく…。

【REVIEW】
ロバート・デ・ニーロの本領発揮! 改めて言うこともないのだが、本当にすばらしい俳優。息子に語りかける長台詞のシーンの迫力では、ひたすら感動! 胸が震える思い、という言葉はこういう時のためにあるのだと実感。息子役のジェームズ・フランコ(『スパイダーマン』に主人公の親友役で出演)にも注目して欲しい。ドラッグに溺れて自滅していく姿を時に激しく、時に悲しく、実にリアルに演じているのだ。

本作は、ピュリッツァー賞を受賞した報道ジャーナリスト、マイケル・ マッカラリーが綴った事件が元になっている。主人公のビンセント・マラーカは実在の人物だ。殺人者として処刑された祖父、息子を捨てた父、事件の容疑者であるドラッグ中毒の息子…。過去を変えることは出来ない。現在を、そして未来を生きる者は、過ぎ去った過去を事実として受け止めなくてはならないし、責任を負って行かなくてはならないのだ、というメッセージがこの映画から伝わってくる。

原題は『CITY BY THE SEA』。直訳すると“海辺の街”…ビンセントにとって“消したい過去”そのものだった街、ロングアイランドのことだ。『容疑者』というタイトルからは、つい、よくあるハリウッドスタイルのサスペンス映画を連想してしまうのが残念。さびれた“海辺の街”を舞台に、父と子のドラマを描いたこの映画、地味だけど本当にいい映画です。

Text:nakamura [UNZIP]


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