カンヌ映画祭にて、『ボウリング・フォー・コロンバイン』とともに話題となったドキュメンタリーの傑作。

【REVIEW】
フランス中部、オーベルニュ地方の小さな小学校を舞台に、先生と子供たちの対話を美しく綴った珠玉のドキュメンタリー。

ゆっくりとした時の流れる大自然の中、親密な空気に包まれた小さな教室。その教室で3才から11才までの子供たちが13人、ロペス先生からあらゆることを教わっています。あと半年で35年に渡る教師人生に幕を閉じるロペス先生。その事実を受け入れられない子供たち。先生と子供たちの日常と対話が、詩情豊かな美しい映像で描かれています。

学校で1番落ち着きのない小さなジョジョ。ロペス先生はこのジョジョがほっとけません。ロペス先生が彼に「どうして学校にきてるの？」と尋ねると「ママが行きなさいというから」と素直に答えます。そこで先生は「学校では何をする？遊ぶだけのところかい？」と質問。こういった穏やかな言葉のキャッチボールが続き、ジョジョは自らの学校へ来ることの答えを導きます。それはとても自然に。

本作が伝える、現代社会において見失われがちな「学ぶ事が持つ素晴らしさ」や「素朴で純真な心の絆」がわたしたちに暖かい感動を与えます。そして、13人13様の個性を大切に尊重しながら、穏やかに情熱をもって接する先生と子供たちの光景に心が暖まります。見終わったときには、彼ら1人1人のいきいきとした表情が、心の奥にくっきりと刻み込まれることでしょう。ホームビデオのような1本のドキュメンタリー映画、是非、観てほしい作品です。

Text：Imafuku [UNZIP]


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