[トゥームレイダー2]
Lara Croft Tomb Raider : The Cradle of Life

2003年9月20日より日劇1他・全国東宝洋画系にてロードショー

監督:ヤン・デ・ボン/出演:アンジェリーナ・ジョリー、ジェラルド・バトラー、シアラン・ハインズ、ジャイモン・ハンスゥ、ノア・テイラー、クリストファー・バリー、ティル・シュバイガー、サイモン・ヤム、テレンス・インほか
(2003年/アメリカ/1時間57分/配給:東宝東和)

→アンジェリーナ・ジョリー&ヤン・デ・ボン監督来日記者会見レポート!

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【STORY】
ギリシャ・サントニーニ島沖。地震によって海底に埋もれていた遺跡が見つかりそうだという情報がトレジャー・ハンター達を呼び寄せる。アレクサンダー大王が世界中から集めた財宝の中で、特に重要なものを隠したと伝えられる「月の神殿」が2300年ぶりに海底に姿を現わしたらしいのだ。我らがララ・クロフト(アンジェリーナ・ジョリー)も、気のいいギリシャ人親子と共に現地へ。海流の変動データの分析で、「月の神殿」に一番乗りした彼女だったが、そこで真の秘宝のありかを示した黄金の珠を半分撮影したところで何者かの襲撃を受け、その珠を奪われてしまう。仲間も殺され、船の破片につかまって3日間漂流したララは、執事ヒラリー(クリストファー・バリー)とプライス(ノア・テイラー)に救助されて英国バッキンガムシャーに戻るが、犠牲の多さに怒りが納まらないでいた。そこに英国情報部MI6が女王陛下の依頼を携えて訪問。珠を奪った黒幕がノーベル賞を受賞した生化学の権威ジョナサン・ライス博士(シアラン・ハインズ)であり、古代の細菌兵器を手に入れて各国に売ろうとしていることが判明したのだ。その細菌こそ、珠に示された秘密の場所「生命の揺りかご」に隠された秘宝「パンドラの箱」に残されたものだった。ララは奪われた珠を取り戻すため、カザフスタンの刑務所に収監中の傭兵テリー・シェリダン(ジェラルド・バトラー)をガイドとして雇う。彼はライス博士と組んだ東洋マフィア、チェン・ロー(サイモン・ヤム)一味に詳しかったからだが、MI6は「英国海兵隊の裏切り者だ」と懸念の色を隠せない。ララの元恋人だったらしいのだが……。中国奥地、上海、香港と死闘を繰り広げながら珠を追う二人は、ついに珠を奪取。その解読に成功したララはアフリカの某所、人類の起源でもある「生命の揺りかご」へと飛ぶ……。

【REVIEW】
アンジェリーナ・ジョリー主演、「女性版インディ・ジョーンズ」ララ・クロフトの冒険活劇映画、第2弾の登場である。前作は室内活劇(あとセット内活劇やらCGやら)が多かった印象があるんだけど、今回はアウトドアなアクションもテンコ盛り! 水上スキーに始まって、馬上射撃、新型軍用機での中国奥地潜入、万里の長城でのバイク・アクションに敵アジトの岩壁からのロープ急降下、さらに香港の高層ビルからのダイブやらサバンナでのパラセイリング……と、意味無しとも思えるくらいエクストリーム系スポーツを取り入れてあるから、ロケ撮影ならではの開放感あり。他にも銃剣を使った殺陣が面白い兵馬俑での対決やフラワー・パゴダ広場の中華風西部劇、ガラスが割れまくる敵の研究所内での死闘など、やたら飛ぶし跳ねるしってなアクションが見どころひとつだろう。体を張ったアンジョリの頑張りに拍手、かな。ただストーリー展開は何というか微妙に感情がこもらない気分なのが辛い。それでもクライマックスまでは手かえ品かえ矢継ぎ早なアクションでクイクイと魅せるのだが、アフリカ現地の部族が「神の山」と呼ぶ聖域に入ってからがちょっと……「影の戦士達の谷」あたりはサム・ライミ『死霊のはらわた2/3』のB級ホラー・テイストもあって許せるとしても、やはり原題の副題にもなってる「生命の揺りかご」=地球生命の故郷となった場所ってのには、そのディテール描写につい過剰な期待をし過ぎてしまうではないか。映画の出だしがリュック・ベッソンとかも得意な「海上を滑る」カメラ映像で、それがギリシャの切り立った崖の頂上での結婚式風景に繋がるってシークエンスの素晴らしさがあって、しかもパラマウント・ロゴが波間に見え隠れしたり、地震で崩れた巨岩の群れが海中から捉えられてタイトルになるってな冒頭の遊びの派手な感じを、できれば最後まで持続して欲しかったなぁ……。ま、前作よりも綺麗になった(ように撮られてる)アンジョリの姿にただ見とれるってのが正しい観方なのかも。監督は『スピード』『ツイスター』『ホーンティング』のヤン・デ・ボンである。

ちなみにギリシア神話の「パンドラの箱」って、あらゆる災厄が詰め込まれた箱で、それが解放されたことでヒトが病苦に襲われるようになって、でも最後に箱に残ってたのが「希望」だった……ってなオチだったはず。それを受けて「悲劇の後の微かな希望」って構造を利用した教訓物語やSFなどが無数に生まれたんだけど、この映画の「再解釈」ってのは結構大胆で珍しいかも。その捻った発想をもっと突き詰めてみると面白い別の話ができるかもしれん。映画はオカルトなのかリアルなのか妙にどっちつかずな印象(アレクサンダー大王の時代にヒトの手によって隠された仕掛けのはずなのに……)なのが惜しい。

Text:梶浦秀麿



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