[ルビー&カンタン] TAIS TOI!
2004年1月17日、シネアミューズ他にてロードショー

監督・シナリオ・翻案・脚色:フランシス・ヴェベール/製作:サイード・ベン・サイード/エグゼクティブ・プロデューサー:ジェラール・ゴルティエ/出演:ジェラール・ドパルデュー、ジャン・レノ、アンドレ・デュソリエ、リシャール・ベリィ他
(2003年/フランス/85分/配給:ギャガ・コミュニケーションズ×メディアボッックス)

∵公式サイト(仏)

【STORY】
恋人を殺されて復讐を誓う寡黙な男、ルビー(ジャン・レノ)と、底抜けに陽気でおしゃべりな男、カンタン(ジェラール・ドパルデュー)が、刑務所の中で運命的に出会う(少なくともカンタンにとっては運命的な出会いだった!)。ルビーを親友と思い込んだカンタンは、ひたすら黙り込むルビーに絶え間なく話しかけ続け(原題の『TAIS TOI!』はルビーがカンタンに言う台詞「だまれ!」だ)、やがて二人はひょんなことから刑務所を脱走! 追い払っても追い払ってもくっついてくるカンタンを迷惑に思っていたルビーだったが、やがて笑顔で追ってくるカンタンを、どこか憎めなくなってきて…。ルビー&カンタンの二人が繰り広げる脱走劇。

【REVIEW】
『奇人たちの晩餐会』『メルシィ!人生』のフランシス・ヴェベール監督最新作が公開された。『メルシィ!人生』を観た時には、お腹が痛くなるぐらいに笑いころげた記憶がある。フランス映画はあまり得意ではない筈の私がうっかりはまってしまったフランス人の笑いの壷。本作でもまた、とことん笑わせられてしまった。主役にはフランスの誇る2大スター、ジャン・レノとジェラール・ドパルデュー。この二人のドタバタ喜劇が面白くない訳がないのだ。特に、無垢な笑顔が憎めないドパルデューの演技はいつもながら素晴らしい!(別人のように痩せたせいもあってか、妙に可愛いらしくさえ見える。) 俳優陣の演技を観るだけでも十分に価値のある作品である。

ところが。映画が終わってみると、どうも満足していないのだ。ドタバタ喜劇のエピソードはたしかに面白いのだが、むりやり終わらせてしまった感じのラストシーンに疑問が残る。ヴェベール監督ならではの“ウェルメイドなフレンチ・コメディ”を期待していたのだが、“ただの面白い映画”だったように思えるのだ。期待が過ぎた上での評価であることは否めないけれども、やっぱりちょっと残念な気持ちだ。

Text:nakamura [UNZIP]



Copyright © 2004 UNZIP