KILL BILL vol.2 the Love Story
今度の『キル・ビル』は愛がある。ドラマがある。

REVIEW:
前作『キル・ビル Vol.1』のエンディングは完璧だった。作品全体に、70年代の日本のシリーズものテレビアニメを思わせる妙な暗さが漂っていて、それにぴったりマッチしていた。前作の中で、いちばん気に入っているのが、あのエンディングだ。

作品自体はタランティーノのファンの間でも賛否両論あったけれども、公開時は、会社の上司にも、酔っぱらいのおじさんにも、ひさしぶりに話した幼馴染みにも、六本木のキャバクラ嬢にも、『キル・ビル』は共通言語だった(タランティーノってそんな監督だったっけ?)。つまり、ちょっとしたお祭りだった。

『キル・ビル Vol.1』を語るとき、一番的を得ているな、と思うのが“一流のB級映画”という言い方だ。その後編となる『キル・ビル Vol.2』は、キャッチコピーが示しているように、アニメチックな部分を少し押さえ、もう少しラブ・ストーリーに寄っている。それでもこの映画はもともと1本の映画として撮られた作品の後半部分なのだから、『キル・ビル』の持つB級さは良い意味で受け継がれている。ビールでも飲みながら。ポップコーンでも食べながら。楽しんだ者勝ちの映画なんじゃないだろうか。

個人的には、大好きなマイケル・マドセン演じるバド(ビルの弟)のダメでかっこよくてやっぱりダメな、その加減が絶妙だったり、この監督の描くキャラクターが、なんというか、とても好きだ。

すでに『キル・ビル Vol.3』の噂もあるそうだけれど、もしもできることならば、“ブラック・マンバ”=“ザ・ブライド”が毎週、異なる敵に立ち向かうドラマを、土曜日の夕方か平日の夜中なんかにテレビで見たいものである。

Text:nakamura [UNZIP]

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『キル・ビル Vol.2』 ザ・ラブ・ストーリー
2004年4月24日より全国松竹・東急系にてロードショー!
(2004年/アメリカ/136分/配給:ギャガ=ヒューマックス)


CAST&CREW:
監督・脚本:クエンティン・タランティーノ
製作:ローレンス・ベンダー
出演:ユマ・サーマン、デヴィッド・キャラダイン、ダリル・ハンナ、マイケル・マドセン、ゴードン・リュー他


REVIEWER:
nakamura [UNZIP]

INTERNAL LINK:
特集『キル・ビル』

EXTERNAL LINK:
『キル・ビル』公式サイト

DVD:
cover キル・ビル Vol.1
主演:ユマ・サーマン/監督:クエンティン・タランティーノ