[ニューヨークの恋人] KATE&LEOPOLD
2002年6月15日より日比谷スカラ座他全国東宝洋画系にてロードショー

監督:ジェームズ・マンゴールド/出演:メグ・ライアン、ヒュ−・ジャックマン、リーヴ・シュレイバー、ブレッキン・メイヤー、ナターシャ・リオン、ブラッドリー・ウィットフォードほか(2001年/アメリカ/1時間58分/ギャガ・ヒューマックス共同配給)

→ヒュー・ジャックマン来日記者レポート
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NYの広告会社で働くキャリア・ウーマン、ケイト(メグ・ライアン)。4年間付き合ったボーイフレンドと別れ、その傷がまだ癒えていない。相手に未練があるのではなく、自分にとって大切な4年間が相手にとって何の意味ももたない時間だったことに気づかされたからだ。そんな時、ブルックリン橋に偶然開いてしまったタイム・トンネルを通して19世紀からやって来た、レオポルド(ヒュ−・ジャックマン)と出会う。文武に優れ、召使達に囲まれる何不自由ない生活を送りながらも、真の恋人に巡りあえないという問題を抱えていたレオポルド。ケイトの弟チャーリーや、セクハラまがいの手口でケイトに迫ってくる職場の上司達を巻き込みながら、やがてケイトとレオポルドの間には時代と文化の壁を越えた恋が芽生えていく…。

一生懸命頑張ればキャリアも恋も手に入るはず、と信じてきたけれど、気がついてみると何これ状態の現実。そりゃシニカルにもなるってものよ、というキャリアウーマン、そんな現代女性、多いのではないだろうか。そんな女性たちの“理想的な男性”とは…。女性を大切にしてくれる、楽しませてくれる、優しく癒してくれる“白馬の王子様”。そんな主人公達をメグ・ライアンとヒュー・ジャックマンが演じている。メグのキュートな笑顔と、ヒュー・ジャックマンの凛々しさに魅了され、映画に引きこまれること2時間弱。ストーリーといえば、おかしいくらい先がみえてしまうほどのラブ・ストーリーの王道。だから、安心して観れるのである。女性はこの映画で夢を、男性には女性のハートをつかむマニュアルとしてみてほしい作品である。私は、メグが着ていたバーニーズのスタンドカラーのシャツに一目惚れ。春にほしい一着である。

Text:imafuku [UNZIP]

「ロマコメの女王」メグ・ライアンと『X-メン』『ソード・フィッシュ』『恋する遺伝子』のヒュー・ジャックマン共演の、SF(タイムトリップ)仕掛けのロマンチック・ラヴ・コメディ。19世紀からやってきた貴族(ただし没落寸前で政略結婚=逆玉を強いられてる公爵の跡継ぎ)とキャリアウーマン(ただし酷い商品を嘘まがいの誇大広告で売りつけなきゃいけない広告屋)の恋って大筋なんだけど……。たぶん疲れたOLが独りでこれ観たら、橋から飛び降りたくなるかも。『スパイダーマン』や『奇跡の歌』でも活躍したNY名所ブルックリン橋が、「キャリアウーマン飛び込み自殺の名所」になるかも? しかしまあ、橋から飛び降りるくらいの勇気がなきゃ、ロマンスの奇跡、ロマンチックな夢は叶わないってことでもあるか。個人的には、ジャック・フィニィの名作『ふりだしに戻る』を彷彿とさせる“古き良きNY”感覚と、都会のトレンディ・ドラマの新機軸としてのタイムトリップ・アイデアは好ましく思った。レオポルドがエレベータの発明者だという細かい設定とか、単に絵に描いた“白馬の王子さま”ってわけじゃなくて、19世紀末でさえ既に絶滅してたはずの人種=誇り高き自由な貴族でもあったってなヒネリが面白い。決して百年前の貴族が皆ジェントルマンってことはないのだ。ただしメグ・ライアンが演じたようなアリガチなキャリアウーマン(少女漫画のドジでイジイジしたヒロインのオバハン版だな)が、必ず素晴らしい恋に出会えるに相応しい内面を持ってるとは限らないのが、この手の映画の「罠」なんだけど、そこをイジワルに追求するのはやめておこう。もてない男子はレオポルドのどこが女子の琴線に触れるのか研究すると吉、かもね。監督は『コップ・ランド』『17歳のカルテ』のジェームズ・マンゴールド。 甘い主題歌をスティングが歌っている。

Text:梶浦秀麿

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