[S.W.A.T.]
2003年9月27日より丸の内ピカデリー1他全国松竹・東急系にて公開

監督:クラーク・ジョンソン/脚本:デビット・アヤー、デビッド・マッケナ/ストーリー:ロン・ミタ & ジム・マックレイン/キャスト:サミュエル・L・ジャクソン、コリン・ファレル、ミシェル・ロドリゲス、LL・クール・J他
(2003年/アメリカ/1時間51分/配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント)

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【STORY】
悪名高き麻薬王アレックス(オリヴィエ・マルティネス)が、逮捕された。詰めかけた報道陣に、彼は宣言する。『俺を逃がしてくれた奴に、1億ドル払う』…と。FBIのもとへと護送ミッションを担うは、S.W.A.T.。ホンド巡査部長(サミュエル・L・ジャクソン)を指揮官とする、結成まもない6人の精鋭部隊だ。

約6ヶ月前のこと。S.W.A.T.隊員のストリート(コリン・ファレル)は、強盗事件にあたっていた。しかし、パートナーであるギャンブル(ジェレミー・レナー)の判断ミスから、2人はS.W.A.T.を追放される。納得できず、警察を去るギャンブル。降格処分を受け入れ、S.W.A.T.に戻る機会を待つストリート。親友2人が選んだ、別々の道。この選択が、運命を大きく変える…。

【REVIEW】
ハリウッド映画のアクション系や刑事ドラマで大規模な事件が発生すると、必ずと言っていいほど現場に出てくるのがS.W.A.T.の方々である。黒装束に身を包み、団体行動に命をかける彼らの姿は、驚くほど地味に扱われている。敏腕刑事やFBIに退けられ、仮面ライダーのショッカー軍団、もしくは『スターウォーズ』のストームトゥルーパー並に、その他大勢のやられ役として描かれ続けてきたS.W.A.T.だが、じつは彼らが主役のドラマがかつてアメリカで放送されていたこともあり、本作はそのリメイクなのである。

そんな地味な彼らをあらためて晴れ舞台に引き上げたのは刑事ドラマを手がけてきたクラーク・ジョンソン監督。監督としてはマニア以外にあまり知名度のない彼だが、役者としては長年警官役を演じ、『ベビーシッター・アドベンチャー』『ニック・オブ・タイム』『カラーズ』などにも出演しているので、顔を見れば、「あー、あの人ね〜」と思っていただけるかもしれない。またプロデューサーも『ワイルド・スピード』『トリプルX』などのアクションを数々手がけてきたニール・H・モリッツだけあって、アクションシーンへの熱の入れ込み様はかなりのものだ。それはキャスティングにも現れている。

S.W.A.T.の新チームリーダー・ボンド役に、肉体系の作品にはスキンヘッドで挑むサミュエル・L・ジャクソン、努力と才能を買われてメンバー入りするストリート役に『マイノリティ・リポート』のコリン・ファレル、男勝りの活躍を見せる異例の紅一点サンチェス役に肉体派女優のミシェル・ロドリゲス、無鉄砲ながらも行動力と体力に秀でたディーク役にはミュージシャンの顔も持つLL・クール・Jなど、魅力溢れるキャスティングで、S.W.A.T.の世界に華を咲かせる。

物語は大きく分けてトレーニングに励む前半と、麻薬王との攻防戦が描かれる後半に分けられるが、射撃や潜入捜査の訓練シーンを時間を掛けて丁寧にかつスタイリッシュに描くことで、後半のオーバー気味なアクションシーンもただのドタバタ劇で終わらせない説得力を持たせている。ただ「俺を逃がした奴に1億ドル払う!」と宣言した麻薬王を演じるオリヴィエ・マルティネスがあまり悪者の親分ぽくなくて薄っぺらい印象しかないのがもったいないけれど、マニアにはたまらないシーンも盛り込まれているという本作で、普段描かれなかったS.W.A.T.の活躍する姿を見て欲しい。

Text:うたまる(キノキノ



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